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｢大毅が転校してきて二年か〜｣
｢早いな、意外と。｣
｢うん、それと同時に今年は受験やで？
もう倒れそう〜…｣
｢……おぅ｣
大毅が転校してきたのは、高一の夏。
ちょうど今みたいに暑い時。
来る前からちらほら悪い噂をこそこそ流すやつが沢山いて、
前の学校で先生を妊娠させた、とか
暴走族だった、とか
ありもしないようなことをみんな
大毅がいる前で話してた。
転校生なら、人だかりが出来て
すぐに解けこめそうなのに、大毅はずっと一人だった。
さっちんも由美も噂を聞いて怖がって
私が話しかけようよ、と言っても嫌がった。
そんな中、私だけが大毅に話しかけた。
なんだ、普通の子じゃん。
って、素直にそう思った。
自然と大毅と二人でいることが多くなって、
何してても一緒だった。
休みの日も、休み時間も、放課後も。
まぁそれはきっと、大毅を一人にしたくないって私のお人好しなんだけど。
少なくとも、彼に恋しているのは確かだった。
｢よう仲良うできるね重岡くんと。元ヤンやて噂やよ｣
ある日、由美がそんなことを言ってきた。
要するに、あいつに関わるなってことなんだろうけど。
｢そんなん本人に聞いてみんとわからんやん。てか、元ヤンやからって話したらあかんの？｣
｢いや、うちはAのことを思って、｣
まだ話している由美を無視して、
つまんなそうに外を眺めていた大毅の席まで行って、机をバンと叩いた。
案の定、目を真ん丸にさせながら驚いた大毅は小さい声で｢な、なに｣と言った。
｢なぁ、大毅って元ヤンなん？｣
｢元、ヤン…？なんそれ｣
まるで、｢なにそれ元ヤンって。おいしいの？｣ってくらいの勢いで頭にはてなを浮かばせた大毅は、｢あ、それよりさぁ｣ってにこにこ話す姿に、由美もさっちんも唖然としていた。
｢な、なんや、普通の子やん｣
それからは、徐々に大毅に友達が出来てった。
｢なぁなぁ、｣
｢ん？｣
それでも、大毅に彼女が出来たり、
告白されたりすることは無かった。
どんどん大毅が人気者になっても、
大毅の隣は、私で、変わることはなかった。
｢今日も二人で帰ろうな｣
｢うん、そやね｣
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作者名：のらら | 作成日時：2018年8月9日 0時
