【BL短編集】収集癖 (ページ10)

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待望 smbr ページ10

※死ネタ
※病弱表現

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ーsm sideー

俺は昔から体が弱く、人生の中で何度も入退院を繰り返してきた
手元にある本はもう何周もしていて暇つぶしには使えない
だから俺は今日も窓の外を眺めている

いつ病に倒れるか分からない俺は1人で外に出られない
だから俺は外にある種の憧れを抱いていた

毎日毎日外を眺めては体が強い自分を想像してため息を吐く、ただ普通に生きたいだけなんだ、俺は

そんな時だった、あいつが現れたのは
俺と同い年くらいだろうか、彼はその身体に見合わないような大きな白い翼を背負って俺の前に現れた

はじめ、俺は死期が近いんだと思ったがそうでは無いらしい

br｢いつも死にそうな顔で外見てるから死にたいんだと思っちゃった〜！w｣

sm｢ばか、んなわけないだろ...退屈なんだよ｣

br｢ほんと！？じゃ僕とお話しようよ！｣

ある程度自由に動けるらしいそいつは、あれから色んなことを教えてくれた

都会はもっと人通りが多いんだとか、学校の授業では今こんなことをやってるんだとか
いやお前学校通ってないだろ、と思いはしたがどの話も面白かった

だが、ひとつ疑問が残る

sm｢ぶるーく、お前何者なんだ？｣

br｢...へ？どっからどう見ても天使でしょ〜｣

sm｢いや...お前のその口ぶりからして人間なんだろ？｣

br｢あはwばれた？｣

彼は見た目こそ人間離れしているが話す内容がどうも同年代の友達みたいなもので話す時だけは大きな羽も天使の輪も気にならなかった

br｢僕ね〜...確かに生きてたけど、死んじゃったんだ｣

sm｢...なんで｣

br｢なんでって...そりゃあ...ね？
病気が辛くて、痛くて、怖かったからこの窓から...｣

彼は、もうこの世にいないらしい
それならその見た目も、話の内容も納得だ

彼も同じことを経験したらしい
俺も、彼がいなかったらきっと同じような決断をしていたのだろうか

br｢...僕がいなかったら同じことしてたと思う？｣

sm｢そりゃ...話し相手もいないし、1人だといつ悪化するかわからなくて不安になるからな｣

br｢そっかぁ...でもね、僕、ほんとは存在しちゃいけないから...もう長くここにいられないと思うよ｣

sm｢...それはつまり？｣

br｢僕と一緒に死のうよ、すまいる
君の言った通り1人じゃ不安なんだ｣

寂しそうに笑う彼、俺の心はいつからかもう決まっていた
もう、1人じゃないから

br｢大丈夫、怖くないよ｣