【25時、ナイトコードで。】死にたい僕らにできること【短編集】

＊ ページ32

まふゆ side

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Aは私と似ている。似ているようで、マッタク違う。考え方の根本が、なにだか人間でないものの考え方をする。


自分だって人間だのに、まるで違うように否定する。

人間でいたくないのかもしれないと思ったのは 昔。



Aは時々、私のことを「朝比奈」と呼ぶ。いつもは「まふゆ」と呼ぶのに、全てあきらめたような顔で笑って、私のことを「朝比奈」と呼ぶ。

そのたびそのたび、私はなんとなくふわふわした気分になる。学校で見る姿より荒々しい呼び方は、私だけなのかと思うと。


Aは 考えすぎとか偽りすぎでムシャクシャしたとき、放課後 衝動のまんま裏門に走り出して、誰にも分からない場所でタバコを吸っている。


マールボロ。白と緑のシンプルな箱と 愛用のライターを握りしめて。



メンソールの清涼感と、ラズベリーの甘い匂い。風に乗って運ばれた香りが鼻についたら、私も裏門に出向く。



未成年のくせに、どこでタバコを手に入れてるんだと思っていたら、Aはいつしか「家族から奪った」って言っていた気がする。





私は別に 吸いたいと思っているわけではない。タバコを吸うAの姿が なんとなく心地いいだけで。

時々残り香に メンソールとラズベリーをたゆませて歩くAの隣を歩くのが …好き？


Aのことは好き。タバコの匂いを操るAはもっと。




未成年喫煙がなんだって、私は既にもう助からない。

しあわせのいろ ＿絵名→←世界不履行 ＿まふゆ

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