透明晩餐会 ＿まふゆ ページ4
久しぶりに口にした食事は味がしなかった。光を受けて キラキラと輝くたれの付いたお肉も、ただただ無味でしかない。
温かいが、美味しくない。甘さもしょっぱさも酸っぱさも旨さも、何も感じない。
口に入れるまで 料理の姿形は見えているというのに、口に入れた瞬間、何もなくなってしまう。空虚な食感が頭の中を支配するだけだった。
『ねえまふゆ、美味しい？』
「…さあ。分からない」
淡々と、作業のように料理を口に運ぶまふゆ。食器が当たる音だけここに響いて、そしていずれは全部無くなる。
さまざまな食感の水を 噛んで飲み込んでいるだけのような。私は一体何を食べているんだろう？
「…それ、かなり辛いって書いてあったやつ」
『…何も感じないよ。口の中が少しピリピリするだけ』
見た目はとても辛そうな料理を咀嚼しても味はなく、痛みだけが残ってしまう。痛いのは嫌いだ。だから私は辛いのが嫌いだ。
味を感じようと、こうやってまふゆと一緒に食事を取ったって 無駄なのかもしれない。きっと変われない。
それでもまふゆは私の元に来て料理を作るし、それを私と一緒に食べようとする。
変われると信じているのだろうか。まふゆは強いな。
『ごちそうさまでした』
『ねえまふゆ。1ヶ月もやって何も変わらないのに、どうして私と一緒に食事を取るの』
素朴な疑問だった。だって分からない。まふゆにはもっと仲のいい子がいて、その子達と食事を取った方が楽しいだろうに。
味の感じない、あまり喋らない私とでは、到底楽しい食事なんてできやしないだろうに。
「そうでもしないと、Aは食事を取らないでしょ、奏と違って。Aが倒れたら、私が困る」
『… … … ？ 困るって、何が』
「それくらい、自分で考えて。答えが出るまで待ってるから」
お皿洗いを止めてこっちを見たまふゆの目は、少しの期待を孕んでいた。
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さき(プロフ) - ふみふゆさん» 迷惑だなんて、とんでもない！とっても嬉しいです！ありがとうございます…！！ (2月6日 19時) (
レス) id: bc9aead4c2 (このIDを非表示/違反報告)
ふみふゆ(プロフ) - 迷惑だったらすみません、雰囲気とか話し方とか、全然壊れてなくて好きです…… (2月6日 18時) (レス) @page12 id: aed784c8de (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さき。 | 作成日時：2023年9月12日 23時
