空回りOD ＿まふゆ※ ~ ページ20
A side
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この日の夕方は本当に酷かった。もう夜の帳が降りてきているからなのか、なぜかひどくパニックになって、体が熱くて頭が痛くて、視界の四隅がぼやけてしまって。
それなのに外に出てフラフラ歩いていたものだから、いつか道路に飛び出して車に轢かれてしまうんじゃないかってくらい、足元がおぼつかなかった。
この日は、財布をバッグに入れて、スマホをポッケの中で握りしめて、一人でドラッグストアに向かっていた。
下と前をぐらぐら向きながら、歩道を歩いてったのは、覚えている。
色んな種類の薬と、安物の水一本を乱暴にバッグに入れて、お店を出て彷徨って。よたよた歩きながら着いたのは公園だった。
もう暗がりになってきている公園の隅で 買ったばかりの薬の箱を力任せに開けて、開けたものから 入っている分全部の薬を水で飲み込んだ。
オーバードーズだ。どうしようもなかったとしか言えない。
全部飲み終わって、バッグをほっぽってしばらくブランコを漕いでいた。大きくなるとブランコは酔ってしまうようになるが、この時限りはそうでもなかった。
漕ぐたびに体に打ち付ける冷たい風が気持ちよくて、ぐらりぐらり揺れる脳内が楽しくて、内臓が少し浮く感覚が ゲロが出そうで好きだった。
いずれ、薬が効力を発揮する。四隅にあったもやもやが綺麗さっぱり無くなって、気分がじわじわ良くなって、体温がさらに上がってって、なんだか楽しくて仕方なかった。
大きく振り子を漕ぐブランコ。今なら空さえも飛べる気がして、パッと手を離してブランコから飛び降りた。
「何してるの！！」
『！？！？！？』
聞いたことのある怒鳴り声で 雲の上を漂っていた意識がずり下ろされる。見覚えのある紫髪。
まふゆだ。
かなりある重力を、まふゆはあまりにも簡単に受け止めた。いつも死んでるはずの目には光が宿っていて、おでこに汗が伝っている。
『ま、ふゅ…？』
「あんな高いところから飛び降りたら危ないでしょ！？」
『ァ… ま…』
「何考えてたの！！このバカ！！」
『…うア…』
涙を目に溜めて、私に向かって怒鳴るまふゆは本当に怒っているようだった。抱きしめられたまま至近距離で怒られる。
「…………心臓に、悪い」
『ゴメン、ナサァ… イ… ごめ、なさい…』
きつく抱きしめられて、まふゆが泣いて、私も泣いてしまう。
「今度それやったら、奏と協力して閉じ込めるからね」
笑いぎみの声だった。
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さき(プロフ) - ふみふゆさん» 迷惑だなんて、とんでもない！とっても嬉しいです！ありがとうございます…！！ (2月6日 19時) (
レス) id: bc9aead4c2 (このIDを非表示/違反報告)
ふみふゆ(プロフ) - 迷惑だったらすみません、雰囲気とか話し方とか、全然壊れてなくて好きです…… (2月6日 18時) (レス) @page12 id: aed784c8de (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さき。 | 作成日時：2023年9月12日 23時
