恋人心中計画 ＿絵名 ページ15
※恋人関係
ーーー
こんな世界になんて 生まれてきたくなかった。自分勝手にそう思って、でも 痛い思いをして私を産んでくれたやさしい母に糾弾することなんてできなかった。
オギャオギャと大声で泣きたくなった。自分の身体を抱きしめて そのまま水の中で溺死してしまいたかった。頚を絞めるロープを買ってこれるほどの勇気があればよかった。
とどのところ私は死ぬことなんてできないのだ。死にたい消えたい生きたくないと泣き散らそうとも、自分から足を進めて空中に投げ出せるほどの勇気がなかったから。
あたたかなお風呂の中で頭まで浸ってみるとも、酸素を求めて頭はザパリと浮かび上がってしまう。身体に締め付けられた防衛本能がうざったらしかった。
てんでダメだった。私は生きるしかない。生きるしかない。
私が死んだら、やさしいやさしい母が嘆き悲しむだろう。アノ人は私が大好きらしいから。いつも私を可愛い可愛いと言って辺りに自慢するのだ。
子供は親のきらびやかなアクセサリーではない。自分の功績をしらしめるトロフィーでもない。
私は死にたかった。離すまいと掴まれた手首には痣がある。
『ネエ絵名。』
「なに？」
『私、死にたいよ。こんな世界、コレッポッチも生きていたくない』
はらりと笑ってみせた。口角を上げただけだ。
「…そうね。私もそう思う」
目を見開いたあと、それを伏せた。
絵名も死にたいらしい。私とは真反対の親を持つ絵名は私を羨ましがった。一部ではあるけれど。
ソッと絵名のほそっちい頚に親指を当てた。こんなにちいちゃな頚で呼吸をしているだなんて、信じられない。
『私と一緒に死ぬ？』
私にはその勇気が無いことは言わなかった。かといって、絵名だけを死なせるわけではなかった。なぜ言ったのかは分からない。
「あはは、それもいいかもね」
肩を竦めてみせた。諦めているようだった。
ちゅう、と絵名の唇にキスをした。漏れ出した息をすくうように舌で唇をなぞった。
『ネエ絵名。愛してる』
「私も」
絵名だけ残して世界なんて消えればいいと、本当に本当に心の底から思った。
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さき(プロフ) - ふみふゆさん» 迷惑だなんて、とんでもない！とっても嬉しいです！ありがとうございます…！！ (2月6日 19時) (
レス) id: bc9aead4c2 (このIDを非表示/違反報告)
ふみふゆ(プロフ) - 迷惑だったらすみません、雰囲気とか話し方とか、全然壊れてなくて好きです…… (2月6日 18時) (レス) @page12 id: aed784c8de (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さき。 | 作成日時：2023年9月12日 23時
