2日目 嫉妬 ページ2
乱歩side
朝の11時頃に毎度Aはやってくる。
しかし、今日は1時間たっても姿を表さない。
習慣になってしまっているからか、逆に突然来なくなると不安になってしまう。
「今日来ませんね」
賢治も同じことを思っていたのか、出入り口の方を見ながら呟いた。
「Aさんも仕事で忙しいのだろう」
国木田が言うことは至極真っ当だ。平日なのにも関わらず毎日告白の為に来ている方が可笑しい。
だが、1年間ずっと欠かさず来ていたAが突然来なくなるとは思えなかった。
「…ちょっと出てくる」
バタバタと見切り発車で外に出る。
『超推理』を使いたいところだがAの情報がほとんど知らない為、自力で探すしかない。
Aはいつも僕の話を聞きたがっているせいで、自分の話をしようとしない。
「僕、地道なことが嫌いなんだけど」
それでも、探さずにはいられなかった。
まず始めに探偵社周辺を探していたら、思わぬ所でであった。
「あれ、乱歩さん？」
「なんで社員寮にいるのかと隣の太宰について説明してくれるかなー？」
笑顔で話しているAと太宰を見て無性に腹が立ったから、わざと聞いた。
「死にそうと言う連絡を太宰さんから頂いたのでここへ来ました」
「へー。探偵社には来なかった理由は此処で話をしてたからなんだね」
クスクスと笑っている太宰とぽかんとした顔をしているA。
「あの、自惚れかもしれないんですけど…やきもちですか？」
「ちちがう！僕じゃなくて賢治が来ないことを心配してたから名探偵の僕が探しに来てあげただけ！」
「そうだったんですね！心配をおかけしました」
「まぁ一応ほんの少しだけだけど僕も心配したかもね」
「ほ、ほんとですか！？」
パァっと顔を輝かせてこちらを覗き込むAがとても眩しかった。
「ほんの少しだけ！」
「はい！それでも嬉しいです！」
「ねぇ、君達私のことを忘れてないかい？？」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 5人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：もももんじゅ | 作成日時：2022年1月26日 11時
