佐久早選手からの贈り物【佐久早聖臣】

23 ページ24

.


　


「聖臣さん、ちょ。こいつっ…早く退けろボゲぇ…」






「は？誘っといて何言ってんの」






「は？ムッツリかよお前…」






そう言ったら舌打ちして退けてくれた。くれたって言うのもおかしいな






「風呂入ってくる…」






「後で一緒にご飯作りましょ」






「わかった」






背中を丸めながら彼が移動していく。それを見つめながら、柔軟でもしようと敷いてあるヨガマットまで歩いた






「……なんだこれは」






部屋の角にある小机の上には、ラブレターみたいなハート柄の封筒の横に、セットと思わしき便せんがある

ファンレターだよね、と軽い気持ちで読んでみれば




『佐久早くんへ』





待て待て待て、なんだ"くん"って。……ファンレターじゃない可能性もあるよな。同級生とかからかもしれないし

無理やり納得してから次の行に目を移す







×××







「どうした」



「………」



マットに仰向けになっていると、早く風呂から上がってきた聖臣が屈んで私を見つめた






「でぃす…でぃすれたー」



「…あぁ。……お前嫉妬深いな」



「嫉妬ちがうし」







…けどさぁ、こんなめっちゃさぁ、丸文字？でさぁ。ラブレターまがいなの見ちゃったらさぁ、結構アレやん…複雑な気持ちになってまいますやん






「この子、君に対する感情がlikeじゃなくてloveって丸出しなんだよ……」






「そうかそうか。飯作るぞ」




「適当！」





「うるさい、腹減った」







「このやろ」




.

24→←22

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す