佐久早選手からの贈り物【佐久早聖臣】

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朝に出会ったソイツのことも忘れ、その日も昨日通りアップして試合。今日はストレート勝ちで、明日も試合ができる






ぐる、と手首を回してみる。今日は中々調子が良かった







「サクサ、女子の試合長引いてるらしーぞ」







「どこ」







「北海道対宮城。見に行かね？」








一時的なチームメイトにそう声をかけられた。人混みは嫌いだ、と断るように言えば無理矢理引っ張られる




連れられた先には案の定人混みがある。比較的空いている席の方へ向かうと、得点の表示されたボードがよく見えた








19-22、北海道が3点リードしている



そして宮城側は1人脚攣ったらしく、丁度代理が入った所らしい






『ここで2番離脱厳しくない？』





『あの10番の子誰だろ』





『昨日は出てなかったよ』







ふと、そんな声が聞こえてくる






目を凝らしてみれば、10番は今朝の奴だった


高く感じた背も、他のコート上の5人に紛れればそうでもない





ソイツは肩をぐるんと回して、頭に手を当てる。




そして、長い長いラリーが始まった。女子バレーを観るのは初めてだから、少しゆっくりに感じる








「……」








数十秒後、北海道側の点数が23に変わった。微かに「ドンマイドンマイ」と選手の声が聞こえる




それは10番に対する声かけで、当の本人は悔しいのか軽く俯いた。絶対お前そんなんで傷つく奴じゃないだろ、そう思っていれば、パッと顔を上げる







次のサーブでは分かりやすく狙われていたが、見事なAパスでセッター位置にボールが返った




『ライト！』そう強く呼んだと思えば、10番は勢いよく助走に入る









「うぉ…」









残念ながらボールはセンターに上がる。が、ボールを打ったスパイカーより、囮として跳んだ10番に目が行った







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長い滞空時間、高い到達点、整ったフォーム


思わず見入ってしまうようなものだ






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