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「えっ、美羽ちゃんバレーやめちゃうの?」
「うん」
自室で勉強していた時、ふとそんな声が聞こえた
そのまま宿題そっちのけで会話に耳を傾ける。
「髪切りたくないから。うちのバレー部ショートが暗黙のルールだし」
「そっかー」
なんだとっ、髪切りたくないからって
鉛筆の芯が、ぽきっと音を立てて折れた
「ミワちゃん!!」
「A、宿題どーしたの」
どたどたと階段を下りながら姉の名前を叫ぶと、じいちゃんやとびおがびくりとこっちを見た
「バレーやめちゃうの!?」
「うん」
「かみのけ!?」
「うん」
必死な私に目もくれず、姉はスマホに目を落とす
「……くだらない」
「ん?なんて?」
「くだらない!」
思いっきりそう言うと、しばらく沈黙が続いた
じいちゃんも、ミワちゃんも、とびおも喋らない
「Aちゃん、美羽ちゃんにも理由があるんだよ…」
「かみのけ切りたくない理由ってなに!?」
何も言わず、姉は部屋に戻って行った
「ミワちゃん…!」
「Aちゃん、今はそっとしておいてあげて」
じいちゃんがそう言った後、つい落涙してしまった
姉を怒らせた気がして、すごく怖くなったんだと思う
「飛雄、今日はもう休憩しようか」
「うん」
2人が庭からリビングに移動して来た。
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「…いつかAちゃんにも、美羽ちゃんみたいにそういう事気にする時期が来るよ」
「こないもん…」
「ははは、それは分かんないよ」
ポン、と頭を撫でられる
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それから。
「じいちゃん、美羽ちゃんの気持ちが分かった気がします」
「そっか」
じいちゃんは入院し、少しやつれている
私が今言った通り、最近姉の気持ちがちょっと分かった
「美羽ちゃんの夢、ヘアメイクアーティスト?だっけ。あと、彼氏もいたんだね」
「あぁ……まあ」
じいちゃんがショボン、となる。多分彼氏って単語に反応したんだ
「でね、私も彼氏じゃないけど…ちょっと尊敬する人できて」
全然手が届かないけど。そう付け加える
「どんな人?」
「東京で有名みたいで、カッコいいの。バレーめっちゃ上手だった」
「試合見たの?」
「うん。前の大会で東京行った時、たまたま見て」
そうかぁ、とじいちゃんが笑った。
3人のこと、ずっと応援してるからね___
それが、私の見た最後の笑顔。
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黒(プロフ) - (名前)ぴよぴよさん» コメントありがとうございます!最後の方はちょっと急ぎ気味で申し訳なかったです…。これからも作品作ろうと思いますので、よければよろしくお願いします! (2020年5月31日 22時) (レス) id: 08f58db469 (このIDを非表示/違反報告)
(名前)ぴよぴよ(プロフ) - 完結おめでとうございます!読んでいて心がほんわかしました。面白かったです!これからも頑張ってください! (2020年5月31日 21時) (レス) id: bfb06fe6e1 (このIDを非表示/違反報告)
黒(プロフ) - ゆうか@佐久早くん推しさん» コメントありがとうございます!そう言って頂けて嬉しいです(o^^o)佐久早さんカッコいいですよね!私も推しです(*^^*) (2020年5月25日 20時) (レス) id: 08f58db469 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうか@佐久早くん推し(プロフ) - コメ失礼します!!めちゃくちゃ面白いです、設定から最高すぎ…!名前の通りサクサくんすごい推してるので嬉しいですー(≧∀≦)これからも更新がんばって下さい、一生見続けます(((大声 (2020年5月25日 13時) (レス) id: c075f4d6d6 (このIDを非表示/違反報告)
黒(プロフ) - ぬこさん» コメントありがとうございます!完全に私の妄想詰め込んだ作品になっちゃいました(笑)これからもこの作品をよろしくお願いしますm(_ _)m (2020年5月21日 21時) (レス) id: 08f58db469 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:黒 | 作成日時:2020年5月7日 9時