【から紅の恋歌】この世でかるたが上手な彼女【名探偵コナン】【ネタバレ注意】

浪速警察病院2！byNeon ページ12

『命に別状はないと聞いているけどまだ診察中みたいね。』

Aが診察室を振り返り、阿知波たちを見ていた蘭はさりげなく視線を外した。

蘭「……未来子ちゃん、遅いね」

和葉「応急処置するだけやって、お医者さんは言うてたけど…」

そのとき、診察室の扉が開いて、未来子が出てきた。

和葉「未来子！」

椅子から立ち上がった和葉、近くに居たAは、未来子の右腕が三角巾で吊られているのに気づいた。

『その腕、もしかして…』

未来子「うん……折れてしもてるみたいや。バチが当たったんや」

右腕を見せる未来子に、和葉は「そんな……」と声を震わせた。

未来子「かるた取りに戻って、和葉や服部君を危ない目に遭わせて……」

和葉「何言うてんの！」

落ち込む未来子をなぐさめようとすると、阿知波が歩み寄ってきた。

阿知波「ありがとう、未来子君、君は皐月会の顔とも言うべきかるたを救ってくれた……会を代表する者として、感謝の気持ちはとても言い尽くせんなぁ」

未来子「でも会長、これでは皐月杯に出られへん……」

悔しげに唇を噛む未来子に、阿知波は「ああ」と残念そうにうなずいた。

阿知波「君ほどの実力者が参加できひんのは、皐月会にとって非常に残念なことやが……今はケガを治すことに専念すべきやないかな」

和葉「そやで！大会は来年もあるんやろ？」

明るく励ます和葉に、未来子は「それやったらあかんねん」と首を横に振った。

和葉「え？」

未来子「今度の皐月杯でええ成績上げんと、いよいよ廃部になってしまうんや、私の代でかるた部を潰すわけにいかんのに……」

と後ろを向いてうつむく未来子に、和葉や阿知波は声をかけられずにいた。すると、

秘書「会長、警察の方がお待ちです！そろそろ……」

阿知波「ああ」

秘書の言葉に、阿知波は未来子を気にかけながらも、警官の方へ歩いていった。

和葉「元気だし、未来子」

和葉は未来子の背中に声をかけた。

「そやかて……」と未来子が涙声でつぶやく。

和葉は未来子を元気づける言葉が出てこなくて、小さく息をついた。

和葉「確かに未来子とアタシ以外、まともにかるたできる部員おらんかったしな……」

和葉の言葉に、未来子が「！！」と目を見開いた。そして突然振り返り、和葉の肩をガバッとつかむ。

未来子「そうや和葉！アンタが出て！あたしの代わりに改方学園代表として！！」

和葉「えぇ！？」

ビックリする和葉の背後で、蘭や紅葉、そしてAも目を見張る。

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