𝙵𝚒𝚕𝚎.𝟷𝟻𝟾 ページ9
.𝙲𝚘𝚗𝚊𝚗 𝚂𝚒𝚍𝚎
な、なんなんだこれは……!
四方八方に張り巡らされたテープに、オレは戸惑いを隠せなかった。
今のオレたちはやっとのことで最寄り駅に到着し、目標であるあの会場を目指していたところ。招待状を見ればその場所は森林の中。ところが、パーティー会場までの道は全て規制線がはってあったのだ。近くにはパトカーや警察も徘徊しているし、いったいどうなっているのだろうか。
「な、なんで警察が先に……」
「あの会場……すっかり警察に包囲されとるかもな」
そんな呆然と立ち尽くすオレたちの頭上に、バババババ……とヘリコプターのようなプロペラ音が鳴り響く。咄嗟に追跡メガネで確認してみると、それは機体に日の丸がついた警察航空隊。
やっぱりわからない。なぜ組織のことを警察がマークしているのか。
とりあえず、今すべきことは一刻も早くみんなの無事を確かめること。あの会場には大勢の人々がいる。それに先程、灰原から"大変どころではない"という趣旨のメールが届いたばかりだ。
ところがオレたちが規制線を乗り越えようとすれば、やはり警察に呼び止められてしまった。
「コラ、ダメだぞボウズたち!そっから先は立ち入り禁止だ」
「ちょっ……と、通してよ!向こうに友達がいるんだっ!!」
「オイ、コラ!こっちは人の命がかかってるんやで!」
オレと服部で必死に訴えるが、"それなら大人しくここで待っていなさい"と宥められるだけ。何度声を荒げようとそれは変わらず、一向に通してくれる気配はない。このやりとりを数回ほど繰り返し、どうしようかと頭を抱えてしまった。
くそっ……もう時間がないってのに!
ただでさえスタートが遅れたというのに、こんなところで足止めを食らうなんてたまったもんじゃない。握り締める拳が自然と震えてしまう。そんな込み上げる苛立ちを隠せないでいると、後方から車のクラクションが鳴った。
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作者名:匿名希望 | 作成日時:2023年12月19日 0時