𝙵𝚒𝚕𝚎.𝟷𝟻𝟻 ページ6
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ひとまず何も状況を知らない探偵さんに《大変どころじゃないわよ》と送ってやった。
私だってこれからどう行動すればいいのか分からない。彼がこちらに来ると連絡を寄越したのが10分程前だから、恐らくもうすぐ到着すると思うけれど。でも、その前に彼女が言った"爆発"が起こるのかもしれない。
そんなことを危惧すると同時に、この時ふと彼女の言葉が再び脳裏を過ぎった。
"大丈夫、今日で全部終わるはずだから。もう哀ちゃんが彼らから逃げ続ける日も、怯える日もなくなるの"
彼女のあの言葉。全部終わるとは何なのか。
……話の流れからして、組織絡みだとはわかるけれど。
私は組織の裏切り者として、長らく彼らの手から逃がれていた。けれども幾度となく鉢合わせをし、更には襲撃され誘拐されることだって。
そこで彼女の言葉の真意を深く探ってみる。
私が彼らから逃げ続ける日も怯える日もなくなる……つまり、彼らというのは組織。そして、逃げる日がなくなるということは組織が無くなるということではないのか。
別に彼女の言葉を鵜呑みにしているわけではない。けれども、自然と言葉に出てしまった。
「まさか組織が………か、壊滅、するの?」
今、この会場で。長らく身を置き、そして追われる羽目になった組織が。
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作者名:匿名希望 | 作成日時:2023年12月19日 0時