𝙵𝚒𝚕𝚎.𝟷𝟼𝟶 ページ11
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オレが様々な考えを巡らせていると、ふとある1つの可能性が浮かび上がってきた。
………もしや、Aさんか？
おそらく組織のことを警察に話したのは、組織の内部を知っていて尚且つ壊滅を望む者。彼女の目的はオレたちと同じく組織壊滅。しかも奴の知り合いだし、情報はそれなりに持っていてもおかしくない。
「もしかしたら……もしかしたらだけど、Aさんかも」
信号がちょうど赤になり、オレの声と同時に安室さんがキュッとブレーキを踏む。
「………なんだって、彼女が？」
「お、おい、あの姉ちゃん何者なんや？」
信じられないと言わんばかりに2人から立て続けに聞かれ、オレは落ち着いて真実を口にした。
「彼女………実はジンと面識があるんだ。しかもかなり昔からね」
その言葉を聞くと、2人は──いや、特に安室さんは心底意外そうな顔をした。彼のこんな顔は初めて見たかもしれない。
「………！へぇ、初耳だな。まさか彼女があの男とそんな関係だったとは」
安室さんは平然を装っているつもりだろうけど、明らかに動揺している。
無理もない。Aさんがかつて警察であったことは知っていたかもしれないが、まさか奴と関わりがあるとは予想外だっただろうし。オレも彼女が奴とどんな関係なのか詳しいことはわからない。でも、疑い深く組織第一のあの男が彼女を手元に置いているのは、おそらく特別な関係以外ないんだろう。
「……だから、彼女なら何らかの形で今日のパーティーのことを知ってたのかも。それで警察にリークしたってことも考えられるよね」
信号が青に変わり、再び安室さんはハンドルを回す。交差点を抜けて脇道へ入り、そこからしばらく進むと木が生い茂る小道がフロントガラス越しに現れた。
まぁ、とりあえず他の可能性も考えてみるか……
警察へのリークにAさんが関与したということはまだ推測の域を出ない。それが彼女ではなく他の誰かによるものという可能性は十分にあるわけだから。
再び考えを巡らせるオレをよそに、車は例の会場がある雑木林の中へ入っていった。
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作者名：匿名希望
| 作成日時：2023年12月19日 0時
