𝙵𝚒𝚕𝚎.𝟷𝟶𝟿 ページ10
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「だから、今日はあなたに私のことも知ってもらおうと思っ──」
「!ちょ、ちょっと待って哀ちゃん。今、"工藤くん"って……」
彼女はコナンくんの正体を知っているというんだろうか。そのまま続きを話そうとする彼女を遮ると、私の言いたいことが伝わったのか更に衝撃的な事を告げられた。
「もちろん、彼のことは知ってるわ。だって、私も工藤君と同じく薬で幼児化してしまっているんだから」
「……く、薬って?幼児化?」
「あら、聞いたでしょ?彼が変な薬を飲まされて小さくなったって………」
確かにそんな事を言っていた。トロピカルランドで変な薬を飲まされたと。しかも陣に殴られて。
そして、哀ちゃんはその変な薬を開発した張本人こそ自分だと言うのだ。もしもそれが事実だとすれば、あることが判明する。新一くんはその薬を陣に飲まされたと言っていた。
ということはつまり──
「………じゃあ、哀ちゃんは組織の人間だったっていうこと?」
「ええ、そうよ。私だけじゃない、私の両親もね」
──哀ちゃんがなぜ今まで両親の話をしなかったのかがわかった。家族で組織に所属していたからだったんだ。
私が衝撃の事実に何も言い出せずにいると、さらに彼女は淡々と自身の身の上話をしてくれた。
その内容はかつて科学者として組織に所属し、両親から引き継いだ薬の開発に携わっていたというもの。しかし、とある事がきっかけで組織に対して嫌気がさしたのだと。そして薬の研究を中断するという対抗手段を取り、その結果ガス室送りに。そこで自ら命を絶とうと例の薬を飲んだところ、体が小さくなり逃げ出すことに成功したらしい。
そして、力尽き倒れていたところを阿笠さんに発見され、今に至るのだという。
でも、まさか哀ちゃんまでとは……
通常の彼女からは全く想像できない壮絶な過去。
ずっと前から、哀ちゃんは同年代の子よりも大人びていると感じていた。それはただの偶然だと思っていたけど、まさかコナンくんと同じように幼児化していたなんて。
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作者名:匿名希望 | 作成日時:2023年12月9日 22時