𝙵𝚒𝚕𝚎.𝟷𝟺𝟿 ページ50
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メインであるホールの内装は、ロビーとは負けず劣らず派手なものだった。何よりもその中心に設置されたテーブルの上に並ぶ豪勢な料理の数々。子どもたちは我先にと人々の間を潜り抜けて、料理の元へ近寄っていく。
「うわ、すっげー!!」
「見てください元太くん!こんなにご馳走がありますよ」
「これも見て!お皿も全部ぴっかぴかだよ!」
テーブルに並ぶ金一択の皿やグラスは、まるで主催者自らの財産を誇示するかのようだった。天井から吊るされたシャンデリアの光に照らされ、食器はキラリと黄金の輝きを放っている。きっとここは、どんな舞踏会で使われる会場よりも豪華なホールだろう。
そして少し離れたところでは蘭ちゃんは毛利さんと、園子ちゃんは京極さんと合流して楽しそうに喋ってる。
……今のところ、異常はないみたいね
彼らの姿を目に焼き付けるように留める。
そう、今の段階でおかしなところはどこにもない。
ただ1人……哀ちゃんを覗いて。
「……灰原さん、どうしたんですか?」
「哀ちゃん顔真っ青!具合わるそう……」
心配する歩美ちゃんたちに反応せず、何もいわず彼女は俯いていた。
……いや、声も出せないほどに緊迫しているんだ。
「……ちょっと哀ちゃん、こっちに行きましょ」
私は見かねてお手洗いの方向に指をさす。
今日のことについて、彼女とも話をつけないといけない。
「………」
哀ちゃんは相変わらず無言のまま。
けれどもキュッと私のドレスの端を握ったので、それが彼女の答えだと受け取った。
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作者名:匿名希望 | 作成日時:2023年12月9日 22時