𝙵𝚒𝚕𝚎.𝟷𝟺𝟸 ページ43
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「あー……そうだな。もともと行く予定だったパーティーに顔でも出してくるか。確か今日だったし」
オレがそう言うと、何かあったのか電話口は沈黙に包まれた。
そしてしばらく間を置き、"そのパーティーのことなんだが……"とやけに神妙そうな父さんの声が続く。
『ちょっといいか。以前、お前から聞いたその例の晩餐会……少し引っかかるところがあるんだが』
「……?引っかかるところ?」
『ああ。その主催者のことだ。
何でも聞いたところによると大がつくほどの富豪だそうじゃないか。あの鈴木財閥に、元総理を輩出している大岡家……さらにはその他有数の資産家。それをも上回ると聞いたぞ』
父さんはそこまで一息に話す。
結局、父さんは何が言いたいんだ?全く話の先が見えない。
「……で、そのどこが引っかかるんだ?すげー金持ちだから何か裏があるってことか?」
確かに、パーティーの主催者がかなりの大富豪なのは気になっていた。ただ、オレは資産家関係には詳しくないからよくわからないが、知られていないだけで金持ちの人なんていくらでもいそうだ。現に、オレが解決した事件にも金持ちはたくさんいたし。
ところが、オレのその問いかけは的外れだったらしく、父さんは言い聞かせるように言った。
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作者名:匿名希望 | 作成日時:2023年12月9日 22時