𝙵𝚒𝚕𝚎.𝟷𝟺𝟷 ページ42
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それから無事保護されたオレは、次々と警察に連行される男たちを静かに遠巻きから眺めていた。抵抗する者もいれば、大人しく警察の手にかかる者もいる。
ジョディ先生や他の捜査官たちは、テキパキと現場の指示をしている風見さんに詰め寄っていた。
「ちょっと、どうしてここに日本警察がいるの……!?私たちが来るのを知ってたわけ?」
「ええ、上の方から事前に連絡をうけていたんです。私服警官として一般人になりすまし、あなた方の様子をずっとうかがっていました」
彼の言葉にハッとして奥穂駅を覗くと、構内にはさっきのサラリーマンなどの一般人はおらず、人気が一気になくなっていた。そうか、あれは風見さんたちがなりすましていたのか。
にしても、マジで危なかったな……
まさに九死に一生を得る出来事に冷や汗をかいていると、手元に持っていた携帯がバイブに震えた。
この状況下で電話をかけてくる人は、恐らく1人しかいない。
「……あっ、赤井さん!あのね、いま大変なことになっちゃってるんだ」
『ああ……RX-7の彼から今し方連絡が来たところだ。"お前たちFBIを助けたつもりはない、勘違いするな"とね』
確かに安室さんが言いそうな台詞。しかし、この風見さんたちの指示が安室さんによるものだったら、彼はいつから組織の罠だと疑っていたんだろう。暗号を見つけた時からか、それとももっと前からか。
オレが1人考えていると、電話口の向こうから"ちょっと代わっていただけませんか?"と落ち着いた声がした。
と、父さんか……?
『大丈夫か、新一。今、赤井君から大変な目にあったと聞いたが……』
「……ああ、大変どころじゃなかったぜ。あと少しでも公安の救援が遅れてたら殺られちまってたかもな」
『やはりそうだったか……それで、これからどうするつもりなんだ?』
「さぁ……とりあえず最終的に組織の1部も捕まったようだし、今後のことは考えてなかったな」
シナリオ通りにはことは進まなかったが、目的は達成できた。
これからどうしようかなんて決めてない。工藤邸に戻って事の詳細を話してもいいし、探偵事務所に帰っても───
……あ、そうだ!あの例のパーティーにでも行こう
そこでオレは、本来行く予定だったことを思い出した。
今頃、探偵事務所はもぬけの殻だ。おっちゃんと蘭はとっくにパーティー会場へ行ってしまったはず。確か開催時刻は午後7時から。今からならギリギリ間に合うだろう。
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作者名:匿名希望 | 作成日時:2023年12月9日 22時