𝙵𝚒𝚕𝚎.𝟷𝟹𝟿 ページ40
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そして男の後を追いかけ、狭い裏路地からひらけた場所に抜けた時、オレは絶句した。
いや、衝撃を受けた。
なっ………!
路地から勢いよく飛び出した自身の足を止める。
まるでオレたちが来るのを待ち構えていたかのように、そこにいたのはサングラスをかけた黒ずくめの男たち。ざっとみて20人ほどだろうか。
先回りの先回り……
オレたちの行動が読まれてたってのか……!?
反射的にズッと後ろに下がるが、その背後にも男たちが。
つまり今のオレたちは、奴らにぐるりと包囲されてしまっていたのだ。
麻酔銃は1回きりだし、サッカーボールの威力だけではここにいる男たちを倒すことは難しい。いくら他の捜査官が拳銃を持っていても、人数的にオレたちだけではかなり無理がある。
「ちょ、ちょっとどういうことなの!?なんで私たちが囲まれているの!?」
「おい、どうするんや!オレらだけじゃ倒せへんで!」
「わからない……!けど、先回りされちゃってたみたいだよ!」
すっかり混乱した頭に浮かんだのは、連日報道されていた連続殺人のニュース。そして、再びポケットから暗号を取り出した。
……まさか事が目立ちすぎてしまったから、これは罠としてわざと捨てたのか。そして解読され次第、ここに駆けつけてきた人物を捕えてしまおうと。
振り返れば確かにおかしかった。いつもの奴らの犯行後は、まさに立つ鳥跡を濁さず。組織がいた痕跡を残さず立ち去るのが奴らのやり方。なのに、次の犯行場所の紙を落とすなんて致命的なミスすぎる。
つまり、オレたちは奴らの手のひらで踊らされていたってわけか……!!
今更そう気づいても時すでに遅し。いっきに形勢逆転だ。
ぐるりと構えられた銃口はオレたちに向けられ、周りの音が一瞬で無になった。ピリピリと痛いくらいに張り詰める空気が広がり、きっと少しの動きだけで撃たれてしまうと思った。
四方八方からカチッとセーフティーレバーの外れる音がして、やべぇ……と背中を一筋の汗が伝う。
そして、耳が割れるような破裂音……発砲音がしたのは、それからすぐのことだった。
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作者名:匿名希望 | 作成日時:2023年12月9日 22時