𝙵𝚒𝚕𝚎.𝟷𝟹𝟽 ページ38
.𝙲𝚘𝚗𝚊𝚗 𝚂𝚒𝚍𝚎
あれから約1ヶ月後……
長らく待ち焦がれていたこの日が、ついに訪れた。
時刻は午前0時を回る直前。あと数分で予定日の24日に日付が変わる。
オレは服部と車に揺られながら、目的地である奥穂駅の到着を待っていた。車窓越しから覗く空は漆黒に包まれており、月明かりでさえ雲に隠れてしまった。これが何を暗示しているのかはわからないが、気にすることはないだろう。
そんなことより今は、"今日こそ奴らを捕まえることができる"という気持ちの方が高ぶっていた。
別に幹部の連中じゃなくてもいい。組織の人間であれば下っ端でもいいのだ。
よし……！
組織のしっぽは掴んでいるし、こちらのほうが一枚上手。それに今のオレは1人じゃない、心強い味方がいるのだ。
「……それで？クールキッド。本当に彼らはここに来るのよね」
助手席に座るジョディ先生がオレに尋ねる。
そう、その味方というのがまさにFBI。組織絡みとなるといつも彼らの力が必要になってしまうが、赤井さんは外せない用事があるらしく来れなかった。それでも、他の捜査官が奥穂駅に向かうオレらの車の後ろにぴったりと着いてきている。彼らはついこの間のFBI連続殺害事件で仲間を失っているし、きっとその時の因縁を抱えているはず。
「うん、間違いないよ。だって暗号にそう書いてあるんだから」
オレはあの暗号が記された紙を何度も確認する。いちおう過去のニュースを確認したが、やはり殺害された富豪は皆1ヶ月おき。だから日にちも間違っていない。
あとは奴らがくるまでひたすら待つ。これはある種の持久戦だ。
「……で、この少年はどうしてここに？」
運転席に座るキャメルさんが、バックミラー越しに服部を凝視する。
「サポートだよ！平次兄ちゃんはサポートで来てくれたんだ」
「せやせや！コイツがずーっと追いかけてる組織っちゅう奴の顔を拝ませて貰おうかー思うてのォ」
うまいこと言葉を被せてくる服部に、"本当は行くってきかなかったんだけどな……"と苦笑いを浮かべる。
オレとしては、服部は組織絡みの事案に関わらせたくはなかった。だが、何が起こるかわからないと忠告はしたものの、この連続殺人事件は自分に託されているからついてくると言いはったのだ。
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作者名：匿名希望
| 作成日時：2023年12月9日 22時
