𝙵𝚒𝚕𝚎.𝟷𝟹𝟷 ページ32
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それから2週間後……
私と蘭ちゃん、そして園子ちゃんは米花百貨店で待ち合わせをしていた。
もちろんその目的はパーティーの衣装探し。ブランドショップに行こうかとも相談していたけど、残念ながらお財布が追いつかない。きっと予算オーバーのものばかりだろう。
というわけで百貨店内の洋服屋に訪れたわけだが、そこにはショーウィンドーにずらりと並ぶ服、服、服……。その膨大な数に圧倒される私とは反対で、園子ちゃんは大はしゃぎで店内を散策していた。
「ちょっと蘭、見て!これなんて素敵じゃない?」
そう言って彼女が指したのは、マネキンが着ている花柄のドレス。たしかに華やかで可愛いけど、これは少し……
「う〜ん、ちょっと派手すぎじゃない?」
マネキンの前に立った蘭ちゃんが私の心を代弁してくれる。派手、という言葉に園子ちゃんは少し口を尖らせた。
「えー?せっかくこれで真さんのハートを射抜けると思ったのに〜……」
「多分、京極さんはもうちょっと控えめの方が好きだと思うよ?……ほら、こういう感じのとか」
そう言いながら、蘭ちゃんがハンガーラックにかかっていた淡いドレスを手に取る。
今話の中ででてきた京極さんとは、園子ちゃんの彼氏さんだ。なんでも、空手の達人で"蹴撃の貴公子"との異名がついているんだとか。逸話によると、ライフルの弾をよけたり50人以上のヤクザを全滅させたという。なんというか、もう人間の域を超えている人だ。
そんな京極さんは、このパーティーへ園子ちゃんの恋人兼ボディーガード枠として来るらしい。
「……んじゃあ、そんな蘭はどうなのよ?」
「あら、私はもうここに来てすぐに決めたよ」
"これ、一目惚れしちゃった!"と言って彼女が手に取ったのは壁にかかったコバルトのドレス。ホルターネックで、肩がチラッと見える上品なものだ。しかも首から胸元にかけてはフリルがあしらわれている。
これには口を尖らせていた園子ちゃんも納得したようで。
「……ふーん、まぁいいんじゃない?にしても、新一くんはお気の毒ねぇ。こんな綺麗な蘭の姿を見れないだなんて」
「そ、それはしょうがないよ!新一ってば、また事件だ事件だーって言ってたし」
少ししょんぼりする蘭ちゃんに、"いっぱい写真を撮って羨ましがらせましょ!"と言う園子ちゃんの言葉にチクリと胸が痛む。
とはいえ結局、コナンくんは奥穂駅に向かうから本当に見れなくなってしまったのだけれども。
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作者名:匿名希望 | 作成日時:2023年12月9日 22時