𝙵𝚒𝚕𝚎.𝟷𝟹𝟶 ページ31
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《OKUHOSTA》
「オク、ホスタ?……ううん違う。これって確か、場所を示してるのよね?なら、もしかして奥穂町のことをいってるんじゃないかしら」
「そう……多分ね。そして、残ったSTAはstationの略称。つまり──」
コナンくんがそう言いかけたとき、今まで静かに見守っていた安室さんがその続きを口にした。
「──つまり、次の場所は奥穂駅ってことですね」
奥穂駅──それは米花町から電車で数十分程のところにある奥穂町の駅。あまり行くことはないが、ここも少し事件の発生率が高い。
「これはやっぱり犯人の行先を示唆していたんだね。きっと、次の目的地が他の仲間から暗号で送られてきたんだ。……でも、今回の犯行を一般人に見られてしまったから慌てて逃げた。その時に落としちゃったんじゃないかな」
コナンくんがそう推察する。彼はそれだけでなく何かを企てるような面持ちで。
そしてやはり私の予想は的中し、彼は考えるような素振りをした後に"犯人が奥穂駅につく前にボクたちが先に待っていよう"と提案した。もちろん、その犯人とは組織の人間。きっと、コナンくんは組織が来る前に先回りしていようという計画なのだろう。
そんな計画を練る彼に、気になることがあったのか安室さんは1つ尋ねた。
「でも、コナン君。先回りすると言っても肝心の日時がわからないんじゃ意味ないだろ?」
「いや……それは大丈夫だよ。今まで関西で起きた連続殺人事件は全て1ヶ月おきに発生している。つまり、次の犯行は今から1ヶ月後……そう、来月の24日なんだ」
24日……その日はちょうどパーティーの日。
私は奥穂駅には行けないけど、コナンくんも招待状を貰っていたはず。私が彼にその件はどうするのか聞くと、パーティーよりもこっちを優先するという。やっぱり組織のこととなると放っておけないみたい。
"今度こそ奴らを捕まえてやる"とコナンくんと服部くんが盛り上がる中、安室さんだけは違った。
彼は、私たちから少し離れたところで誰かに電話をしているようだった。
「……もしもし。風見、お前に少し頼みがある」
──その顔はいつもの穏やかなものではなく、真剣そのもの。この時、私は安室さんのもう1つの顔が見えた気がした。
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作者名:匿名希望 | 作成日時:2023年12月9日 22時