𝙵𝚒𝚕𝚎.𝟷𝟸𝟿 ページ30
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「何か書けるものって持ってる?」
「えっ……書けるもの?う、うん、ペンでよければあるけど……」
コナンくんの急なお願いに戸惑うも、下げていた鞄から手帳にひっかけていたペンを渡す。すると彼はペンを受け取るなり、体を縮こませてあの紙に縦線を引き出した。
《120│102│210│022│120│201│202│001》
見たところ彼は、ランダムに並べられた数字を区切ったようだった。数字を3つに分けていることはわかるものの、その他は何も浮かんでこない。唯一この数字に共通していることといえば、0,1,2の数字以外は使っていないという点だろうか。
「なるほどな、3進法ってわけか……」
それを見た服部くんは納得したように頷く。どうやら彼にはこの暗号の意図が掴めたらしい。それならば、と私は彼にこの暗号の説明を求めることにした。
「あの、服部くん。3進法っていったいなに……?」
「……そら、n進法の類のことや!n進法で使う数字はn個。つまり、3進法で使う数字は0,1,2の3つ。……ほら見てみぃ、この線で区切った数字の終わりはみな0,1,2のどれかやろ?」
指をさす服部くんにもう1度紙に視線を落とす。
120,201,102……本当だ。数字の語尾は全てその3つで終わっている。コナンくんは今、この3進法という考え方を利用したんだろう。
「でも、ここからどうやって文章が……」
「そっから先は簡単や。3進法は000、001、002、010、011……と3つの数字が集まったらどんどん位が増えてく。そんで表ができるんやけど、その表の001から222までの26文字がアルファベットでいうAからZにあたるんや」
私は服部くんが説明したことを頭の中で整理した。
つまり、001はAで002はB、010はC……と続いていく。今、コナンくんが3等分に分けた数字をそれぞれのアルファベットに当てはめれば解読ができるのか。
ようやく私が解説に納得した時、縮こまっていたコナンくんは自信のある声で言った。
「…………そう。つまり、こういうことだよ」
そしてスラスラと紙の下にペンを走らせる。
やがて彼がペンを置いたときに出来上がった言葉は、次のようなものだった。
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作者名:匿名希望 | 作成日時:2023年12月9日 22時