清純の真実･後編《名探偵コナン》 (ページ26)

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𝙵𝚒𝚕𝚎.𝟷𝟸𝟻 ページ26

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それから警察が到着するまでの時間はさほどかからなかった。

"警察です、通してください！"と若い男の人の声が聞こえるなり、人々の間を縫って何人もの鑑識さんがやってくる。周辺にはバリケードテープを持った警官が忙しく動きまわっていた。

そして後から駆けつけてきた刑事さんは、仰向けで倒れている被害者の男性を見るなり、独り言のようにポツリと呟いた。

「……この被害者、今話題の大手財閥の会長じゃないか。確か、賄賂疑惑で来週にも家宅捜索のはずだったが……」

その言葉に私は再び男性の顔を見る。
そういえばどこかで見たことのある顔だと思っていた。やけに既視感のあるこの男性は、いま世間を騒がせている財閥の会長。彼が問題となっているのは、裏社会の人間との裏金疑惑の件だったはず。

もしかして口封じで襲撃されたのかしら……

私がそう考えを巡らせていると、刑事さんはあの執事さんに事情を伺いだした。

「……ちょっとお話いいですか？あなた確か執事の方ですよね。今日、会長がここを訪れた理由が知りたいのですが」

メモ帳を片手にそう尋ねられると、先ほどとはいくらか体の震えが止まった執事さんが、"旦那様は……"と話し出した。

「旦那様は、今度の晩餐会で着ていかれるお召し物を買いに来られたんです」

「晩餐会、ですか？」

「はい。来月に資産家様との晩餐会があるとの事で、旦那様は楽しみにしておられました。それが、まさかこんな事に……」

始終言葉をつまらせながら執事さんは肩を落とす。

来月、資産家、晩餐会……

つい最近きいた単語に、私は刑事さんに財布に仕舞っていた例の招待状を見せた。

「……あの、晩餐会ってたぶんこのことだと思います」

スっと差し出した招待状を手に取るなり、刑事さんは"なるほどねぇ"と唸る。

もし犯人が裏社会の人間なら、今ここで捕まえるのは難しいだろう。とっくにこの場から立ち去っているはずだ。これは迷宮入りになってしまうのかと危惧していると、遠くから"こっちや、こっち！"とやけに目立つ大声が聞こえた。