𝙵𝚒𝚕𝚎.𝟷𝟷𝟿 ページ20
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さっそく新一の携帯で園子にメッセージを送ろうとしたとき、今まで目の前で話していた服部がテーブルの上に目線を落とした。
じっと1点を見つめているその様子は、何かを真剣に考えているようにも見える。
「……ん?どうした」
「いや、その招待状……お前んとこにも来たんか」
「来たー…ってか、園子から招待されたんだよ」
オレがそう答えると、テーブルの招待状を摘みながら"あの姉ちゃんか……"と服部が呟く。
…………ん、待てよ?お前んとこ"にも"って……
今の服部の言葉を聞いて、オレはふととある部分が引っかかった。
「なぁ、服部。今言った"お前んとこにも"ってことは……」
「ああ……オレも持っとるで。その招待状」
着ていたジャケットのポケットから、スッとあの小さな紙を抜き出す。確かにそれは同じ金縁の招待状。しかも、ちゃんと奇妙な主催者の名前も書かれている。"なんでお前も持ってるんだよ"とオレが聞くと服部はため息混じりに口を開いた。
「ほら……この金持ちパーティー、それこそ資産家とか財閥の人が集まるんやろ?そこに招かれた大岡家から和葉とオレのぶん、もろたんや」
大岡家か……
大岡家といえば、関西でトップクラスの財力を有する一族。確かにこの資産家パーティーに呼ばれていてもおかしくない。そういえば、ずいぶん前から服部はそこの令嬢から惚れ込まれていたような。
……そういや服部のやつ、かなりアプローチされてたからな
つまりこれは服部にとっては招待状、ライバル視している和葉ちゃんにとっては挑戦状のようなものなんだろう。
そんな事を考えていたその時、オレはふと脳裏にある可能性が思い浮かんで、"でも待てよ……"と顎に手を当てた。
「今回の連続殺人のターゲットは資産家。そしてこのパーティーの招待客もほとんどが資産家……」
バラバラに散らばっていた点と点が結びつくように、よくない考えが思い浮かぶ。
「ああ……このパーティーっちゅうやつ、絶対何か裏あるで」
服部も同じ考えだったのか、その顔はやや強ばっていた。確かにこのパーティーは資産家を狙う犯人にとっては都合がいい。これが仕組まれたものの可能性もなくはない。
……それにしても、なぜ犯人は資産家の命を狙っているんだ?
オレがそう悩んでいると、ブーブーブーとポケットに入れていた携帯が鳴った。
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作者名:匿名希望 | 作成日時:2023年12月9日 22時