𝙵𝚒𝚕𝚎.𝟷𝟷𝟻 ページ16
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「ねぇ園子ちゃん。その人の名前、調べても出てこないよ?そんなに大富豪なら検索に引っかかると思うんだけど」
「……それ、私も最初は偽物の招待状かと思ったんです。"𠄌代家"なんて聞いたこともないし……。でも、パパの知り合いの資産家もこの人から招待状が届いてるから、本当にいるんじゃないかーって」
"それに、もし嘘の招待状だったとしてもこんなパーティーをするメリットはないと思いますよ"と言われてそれもそうかと思った。しかも、このパーティーを開催するのはその主催者が海外へ移住するため、日本での最後のお別れ会のようなものらしい。
私の考えすぎ、かしら………
正体がよくわからない資産家兼大富豪。なんだか腑に落ちないけれど無理やり納得させ、私は肝心の日付けを聞くことにした。
「……一応聞くけど、そのパーティーの日にちはいつなの?」
「えーっと、確か来月の24日です!」
「24日ね。じゃあ、お言葉に甘えて……もし空けられたら空けておくね」
来月のことはまだわからないけど、予定は入れないようにしよう。
招待してくれた園子ちゃんに何度もお礼をし、私がポアロの仕事に戻ろうと席を立ったその時、"あっ……"と蘭ちゃんが何か言いたげに声を上げた。
「あの、もし行けたらでいいんですけど、今度一緒に買い物にいきませんか?会場はドレスコードだから、洋服とか一緒に見に行けたらなーって思って……」
「……うん!わかった。じゃあ、行けるようになったら連絡するね」
蘭ちゃんの提案に快諾したものの、ドレスコードなんてしたことがない。やっぱりフォーマルな場だから必須なんだろう。
なんだか初めて経験するものばかりで、私はほんの少しだけ不安になってしまった。
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作者名:匿名希望 | 作成日時:2023年12月9日 22時