清純の真実･前編《名探偵コナン》 (ページ9)

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𝙵𝚒𝚕𝚎.𝟾 ページ9

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そこまで記憶を辿ると、オレは1つの仮説にいきついた。

………待てよ？もし灰原が本当に美国島に来ていたって仮定したら、組織が関わってたってことか？
それに、この黒澤陣って名前……
陣……ジン……

その名前を繰り返しているうちに、とんでもない想像が働く。
脳裏に浮かんだのは例の男。あのゴロワーズを纏った姿に、背筋が急にゾワリとした。そんな、まさかな。

「………って、まさか！！」

「そう……あなたが今気づいたことは正しいでしょうね。それに、私もその島に行ったことがあるもの」

「じゃ、じゃあ、Aさんはやっぱり組織の人間だったのかっ！」

「いいえ……それはないわ。彼女からは組織の気配がしたことがないから」

灰原はよく組織の気配を察知する。組織絡みの人間は嫌な臭いを発しているらしい。確かにずっと前にポアロで灰原に同じようなことを聞いたときにも、Aさんから気配はしなかったと言っていた。

思い当たる節があるのか、灰原は"それに……"と話を続けた。

「組織で彼女の名前を聞いたこと、1度もなかったの。あの男は組織に限らず色んな人物と関わりを持っていたけど、彼女の名前なんて口に出した事はないはずよ」

どうやら組織で、Aさんの存在は公にしていなかったらしい。灰原曰く、彼女の名前は聞いたことすらなく、初めて会った時からポアロの新しい店員としか思っていなかったと。
彼女について組織に知られてはマズかったのか、または別の理由があるのか………

2人の関係を灰原も知らないならば、もういっそ直接会って聞いた方が早いだろう。