清純の真実･前編《名探偵コナン》 (ページ50)

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𝙵𝚒𝚕𝚎.𝟺𝟿 ページ50

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それはすぐ隣に立つコナンくんも同じだったようで、彼は焦燥感の混じった声色で蘭ちゃんに言った。

「……ｯ！ねぇ蘭姉ちゃん、お願い出来る？」

「うん、わかった！Aさん、ちょっと下がっていて下さい」

「え！？あ、えぇ……」

蘭ちゃんはコナンくんの言葉に大きく頷くと、私にドアの前から離れるようにと忠告した。

なんだろう、一体何をするつもりなのか。私が検討もつかず扉から一定の距離を取ると、蘭ちゃんはハァーッと片手を後ろに下げ、何かを構えるようなポーズを取った。そしてそのまま固く握り締めたその拳を……

「ハイヤァァァー！！」

………大きな掛け声とともに目の前の扉に向かって突き出した。
それと同時にバキッと響く鈍い音。木製の扉は一瞬にしてその真ん中に歪な形の穴を作ったのだ。

な、なんて力技！
いや、空手の達人だからと言えばそうだけども……

目をぱちくりさせている私の横を、コナンくんはまるでよくあることだと言わんばかりに通り過ぎて室内に入っていった。
半壊した扉をくぐり抜け、蘭ちゃんや園子ちゃんたちに続いて私も部屋に入ると、中央には先ほどまで元気そうだった犬山さんが倒れていた。彼女の意識は無いに等しく、けれども見たところこれといった外傷はなさそう。そのすぐ近くにしゃがみ込んだコナンくんは、神妙そうな面持ちで彼女の首元に手を当てていた。

「だ、大丈夫。まだ息はある……蘭姉ちゃん、急いで警察と救急車をよんで！」

………よかった！まだ遅くはなかったのね！

彼女が手遅れではないという事実にホッとしたのとは裏腹に、私の肌にはスースーと冷たい風がまとわりついていた。ふと周りを見渡してみればその原因はすぐにわかり、外に面した窓が全開になっていたのだ。
おかしい。確か、この窓は先ほど談笑をしていた時には閉まっていたはずなのに。

まさかこの窓から誰かが……
でも待って、そしたら彼女は今の数秒で襲われたっていうの……！？

"彼女は窓から侵入してきた犯人に襲われた"
その考えが過ぎったが、それはあまりにも無理がある。私はヒューヒューと音を立てる風に吹かれるカーテンを、ただただ見つめることしかできなかった。

その後、すぐにこの騒動を聞きつけて山下さんと川田さんもこの場に合流した。