清純の真実･前編《名探偵コナン》 (ページ42)

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𝙵𝚒𝚕𝚎.𝟺𝟷 ページ42

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それから園子ちゃんに連れられて着いた劇場は、トロピカルアイスランド近くに建設されていた。まだ完工されて間もないからか、建物の壁からは微かにペンキやシンナーの匂いがする。

そんな劇場の入場口には《ザ･アニマリーズ！堂々参上！》とでかでかと書かれた看板が下げられていて、これから来る来場者のためにスタッフさんが慌ただしく準備に追われていた。

私たちが劇場脇の扉を開けて通路に入れば、中は照明がついておらず薄暗い廊下のような道が一直線に続いていて。園子ちゃん曰く、ここがバックステージに繋がっているらしいのだけど……

「んもう、真っ暗闇じゃない！どこかに明かりはないのかしら」

園子ちゃんが手探りで電気のスイッチを探す。
仕方なく私が携帯のライトで照らそうとすると、ヌメりのある冷たい何かがぴとりと肌に触れた。

「「「きゃあッ……！！」」」

コナンくん以外の私たちが独特な感触に悲鳴をあげる。園子ちゃんや蘭ちゃんも冷たい何かを感じたらしい。

「ご、ごめんな君たち！驚かせちゃって」

"今、電気をつけるよ"と暗闇から声がしてパチッと明かりが付くと、そこには細身の男の人がいた。

「園子姉ちゃんたち、驚きすぎだよ！ホラ、あれ見て」

コナン君の指差す方に視線を向けると、その男の人の腕に白蛇が巻きついていた。ヒョコッと腕から覗かせた頭は3つ。そのヘビの皮膚はテラテラと光っていて、おそらくこの子たちに触れたんだろう。そしてこちらを威嚇するように、シューッと舌をチロチロと出していた。私たちの悲鳴で、逆にこの子たちを驚かせちゃったのかもしれない。

そんなヘビの持ち主であろう男の人は、私たちを目を凝らして見つめていた。

「あれ？君は確か、鈴木財閥の……」

「あっ……！もしかしてあなた……」

男の人が言いかけ、園子ちゃんが何か思い出したように息を呑む。その時、通路の向こうから女の人が駆けてきた。

「あ、園子ちゃんじゃん！」

来てくれたんだ〜！と嬉しそうに女の人が園子ちゃんの両手をとる。20代前半くらいだろうか、若くて綺麗な女の人。ふとクゥーンと何かが唸るような音が聞こえて目線を下にすれば、彼女の両手には小さな丸々としたポメラニアンがすっぽり収まっていて。

か、可愛い……！

私がそのまん丸の瞳に口元を緩ませていると、彼女としばらく話していた園子ちゃんが私たちに向き直った。