清純の真実･前編《名探偵コナン》 (ページ36)

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𝙵𝚒𝚕𝚎.𝟹𝟻 ページ36

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パンッ

静かな一室に、1発の銃声が鳴り響く。それと同時に部屋に立ち込める硝煙の臭い。

何秒……いや、何分たっただろう。

静まり返った一室には、ただひたすらに時計のカチコチという秒針の音のみが響いていた。いつぞやの時も、これと似たような状況があった気がする。確か、私が記憶を失い彼と初めて会った時に。

頭に衝撃を感じず、ただ私の顔のすぐ横を何かが物凄いスピードで通り抜けたのがわかった。つまり、今のところ私はまだ生きている。恐る恐る固く瞑っていた瞼を開けると、私の視界にすぐ後ろの壁に銃弾がめり込んでいるのが入った。あまりの至近距離からか、壁にはまるで石をぶつけられたガラスのように、網状にヒビが入っている。

けれども未だにマズルは私に向けられたまま。目の前の彼は声色を一切変えず、おもむろに私の名前を呼んだ。

「A、俺に殺されたいか」

冷たく感情の起伏がない声がただただ響いて、その拍子に私は体を震え上がらせた。それはもちろん死にたくない。でも、背に腹はかえられないというもの。私の犠牲はどうしても必要なのだろう。

「それは殺されたくないよ。でも、私以外の人が巻き込まれるのは御免だし………それに、陣ならいいかなって」

最後はずっと隠していた本音。けれども、そう言い切ってしまえば胸の内が晴れたようにスッキリした。最後だしこれだけは言わせて欲しかったのだ。