清純の真実･前編《名探偵コナン》 (ページ28)

今日:188 hit、昨日:101 hit、合計:44,333 hit

𝙵𝚒𝚕𝚎.𝟸𝟽 ページ28

.

「ふむ……君は優秀だったんだが、残念だ。君が連絡してくれた時のように退職理由は今は言えないんだね？」

「はい。申し訳ありませんが、今はまだ伝えられません。ただ、1度警察という職から離れる必要があるんです」

退職理由を言えないなんて、自分勝手な理由で申し訳なく思う。でも、まさか裏の組織を追うためだなんて言うことはできない。
こんな理由もなく辞めるなんて、もしかしたら受理されないかもしれない。

……それでも警部は大きく頷いてくれた。

「……わかった。これは大切に預かるとしよう。君も色々とあったばかりだから、1度落ち着いた方がいいかもしれんな」

その退職願を上着の内ポケットに入れながらそう言ってくれた。

警部の気遣うような優しい言葉にホッと一息ついたのもつかの間、それから警部は話が終わったと管理官に告げた。ガラリと空気が変わって、再び辺りが厳かなものに変わる。それと同時に自然と体が強ばってしまった。

「さて………それでは話すとするか。なぁに、そう固くなることもない……君を呵責するわけでもないんだからな」

やや低い声に思わず心臓が跳ねる。
若干ビクビクしている私に勘づいたのか、管理官が諭すように告げた。

「目暮が先程言ったように私は警察に復帰して間もない。だから君の存在も知る由もない。そんな私が君に聞きたいことというのは………
………ある事件について知っていることがあるかどうかだ」

一拍あけた意味ありげな言い方に首を傾げる。
私が"ある事件ですか？"と聞き返すと、更に詳細を話してくれた。

「先日……資料を求めて倉庫に訪れた際、17年前のとある事件ファイルが動かされていることに気づいた。あの倉庫は迷宮入りの事件や時効の過ぎた事件が置いてある場所で中々人は立ち入らない。そんなファイルを誰が動かしたのか気になってな」

じゅ、17年前の事件……？

思ったよりも前の話に記憶を蘇らせる。
かなり年月の経った事件で私が調べたもの……それはあの羽田浩司事件ぐらいだろう。でも、調べていたといっても短期間だ。なんの情報も手に入れてない。しかもあの後、なぜか陣にそれ以上調べるなと言われて手を引いたのだ。