清純の真実･前編《名探偵コナン》 (ページ26)

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𝙵𝚒𝚕𝚎.𝟸𝟻 ページ26

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トロピカルランドの話の後は、子どもたちや3人と他愛もない話をした。そして、窓の外が薄暗くなると皆ポアロを去っていった。

「じゃあAさん、予定がなかったら行きましょうね！」

「私も楽しみにしてます！」

「ボクもまたここに遊びにくるよ」

3人はそれぞれそう言うと、扉を開けて歩いていった。

トロピカルランドね……テーマパークなんて何年ぶりかしら

テーブルに残った食器やグラスを片付けながら胸を高鳴らせる。
そんな時、あれ？とカウンターから梓さんが首を傾げた。

「Aさん、今日は早く上がるって言ってませんでしたっけ？もういい時間ですけど……」

「………？あ、本当ですね！」

腕時計を見れば短針は5を指していて。予定の時間は確か6時だったはず。今日は予定があると自分から言ったのをすっかり忘れていた。

"後は任せてください"と言ってくれた梓さんにお礼をしてサッと身支度を済ませる。そして、肩にかけた鞄の紐をキュッと握って私も外に出た。

❉

警視庁の受付まで来るのにはさほど時間はかからなかった。
久しぶりに警察手帳を提示して本庁に入れば、四方からいくつかの視線が刺さる。まるで亡霊でも見たかのようにギョッとしている人もいた。居心地がいいかと聞かれればよくはないけど、今まで死んだと思っていた人間が生きているんだもの。驚くのも無理ない。警部から改めて私の殉職を訂正したと連絡が来たけど、あれは前代未聞の出来事だったんだと。

受付の人から"少々お待ち下さい"と言われ待っていると、前から懐かしい声が聞こえた。

「……え！嘘、もしかしてAさん！？」

「み、美和子ちゃん！」

お互いの目が交差するなり、美和子ちゃんはつかつかと近寄ってギュッと両手を握った。

「無事でよかった……！警部から私が知らない内に殉職したって聞いたからてっきり……」

"でも本当によかったです"と薄ら目元に涙を浮かべる。そういえば彼女からも何件か連絡が届いていた。

「……心配かけてごめんね。私もなんで死んだことにされちゃったのかはわからずじまいなの」

「え、Aさん自身もわからないんですか？それは奇妙ですね……。あ、由美にも伝えておきますね！あの子、今パトロール中なので」

「うん、ありがとう」

感動の再会に頬を緩ませていると、受付の人から応接室に行くように促された。名残惜しく感じながら美和子ちゃんと別れると、私はエレベーターに乗りこんだ。