𝙵𝚒𝚕𝚎.𝟸𝟶 ページ21
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「上役……これってラムの事だよね！？あぁ、なんで今まで忘れちまってたんだ！」
「…………！おい、ちょっと待て。ボウヤの言う通りだと、彼女はラムと面識があったことになるが……？」
取り乱すオレとは対に、赤井さんはまだ状況を理解していないようで。それはそうだ。オレたちがずっと追い続けている組織のNo.2の手がかりがこんな形になって出てくるなんて。
「きっとAさんはラムだと思って接してなかったはずだよ！彼女は組織の人間じゃなかったし……それにジンの幼馴染みってなら、今じゃなくて昔に会ったかもしれないよね」
Aさんは、奴から"覚えてる"と告げられていた。きっと今に始まったことではないのだろう。
オレの話を聞くと、赤井さんは顎に手を当てて眉間に皺を寄せていた。多分、用心深い彼のことだからこんな突拍子もない話を簡単には信じていないと思う。
「AA……まだ謎に包まれているな。ボウヤ、何かわかったらまた教えてくれ」
「え……！？赤井さん、協力してくれないの？」
「俺はキールのことでやる事があってな。それに君は日本屈指の捜査官……彼女からうまく聞き出す事ぐらい、君にとっては造作もないだろう？」
赤井さんの言葉に"まぁ、そうだけど……"と呟く。
でも、彼女に尋ねたところでラムの正体に辿り着くとは思えない。いくつかの謎が出てくるだけだ。
例えばその例として、彼女が生存している謎だ。
彼女が警察官だと知っていたら、接触してしまったラムはすぐに消し去ったはず。ではなぜ消さなかったのか。それともその事実を知らなかったのか。それに彼女が死を偽装されていたのも引っかかる。彼女が死んだことになれば、ラムが探る必要もなくなる。そうなることを見越して意図的に誰かが仕組んだものなのか。
"あーわからねぇ"と俺は頭を抱えた。
考えても考えても頭が痛くなるだけ。これは久しぶりにどんな事件よりも複雑な難事件かもしれない。
Aさん、あなたはいったいどこまで知ってるんだ……！
届くことのない思いだと知りながら、ついオレは心の中で呼びかけた。
.𝚂𝚒𝚍𝚎 𝙴𝚗𝚍
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作者名：匿名希望
| 作成日時：2023年7月29日 16時
