清純の真実･前編《名探偵コナン》 (ページ16)

今日:32 hit、昨日:53 hit、合計:44,076 hit

𝙵𝚒𝚕𝚎.𝟷𝟻 ページ16

.

「うーん、何から話せばいいかはわからないけど……彼と私の関係は、一言で言えば幼馴染みなの」

「「…………お、幼馴染み！？」」

コナンくんと哀ちゃんの声が綺麗に重なる。信じられないものでも見るかのように目を見開きながら。
そうなるのも無理ない。彼らがどこまで陣について知っているかはわからないけど、一般人と呼ぶには相応しくないのをわかっているようだし。

「それでも私が彼と関わり続けてたのは、彼が命の恩人だったからなの」

「あ、あの男が恩人ですって……？」

「うん、もう十数年前になるかしら……
私、とある裏事情に足を踏み入れちゃってね。それで口封じに殺されそうになったの。もう死んじゃう──！ってなった時に、彼が助けてくれたのよ」

"まぁ、彼にとっては任務の一環にすぎなかったんだろうけど……"と漏らせばコナンくんは難しい顔に。そして、彼はその表情のまま最新のメールを指した。

「じゃあ、この3月31日には何かあったの？メールを見れば心配してる内容ばかり……なんだかAさんが事故とか事件に巻き込まれたみたいだけど」

「あぁ……それはね、私がちょっとした事件で怪我しちゃっただけなの。ほら、私記憶喪失だったでしょう？あれはその時の事が原因だったのよ」

そういえば、あの銃撃犯の男の人はどうなったんだろう。ニュースを見た限りでは捕まっていないようだったけど。でもあの組織のことだ。人の目の届かぬどこかで消されてしまったんだろう。

「それで……何か他に聞きたいことはあるの？」

「ううん、今日はこれで大丈夫。もしかしたらまた聞く事があるかもしれないけど」

一連の話に納得したようにコナンくんと哀ちゃんが頷く。
彼らがなぜ陣を知っているのかは謎だ。それに探っているのも。もしかしたらその流れで組織について何かしら知っているかもしれない。謎に包まれたあの組織の情報を彼らが握っているとは思えないけど、私は聞かざるを得なかった。

「ねぇ、コナンくん、それに哀ちゃん。もしかしてあの組織の……」

私がそう言いかけたその時、まるで私の声を遮るように後ろの方からハスキーな声がした。