清純の真実･前編《名探偵コナン》 (ページ15)

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𝙵𝚒𝚕𝚎.𝟷𝟺 ページ15

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私の"理由を聞かない限りは教えられない"という言葉にコナンくんはしばらく黙り込んでしまった。しかしやがて数十秒ほど経った時、彼は閉ざしていた口をゆっくりと動かした。

「刑法第103条……警察官のAさんならわかるよね」

ソファに預けていた私の体がピクリと反応する。

「《罰金以上の刑に当たる罪を犯した者を蔵匿、または隠避させた者は、3年以下の懲役か30万円以下の罰金に処せられる》
………犯罪者を匿ったり野放しにしておくのは法律で禁じられてるんだ。まして警察官ならなおさらだよ」

"なんで小学生がそんなことを知ってるの"と言いそうになったけど口を噤む。
コナンくんは本当に知っているんだ。陣が普通の人間じゃないって。犯罪者なんだって。

「彼について、知ってるのね」

その言葉に対してコナンくんは何も言わない。

私は深く息を吐くと目の前の携帯に再び目を落とした。コナンくんの言う通り、私は数々の犯罪に手を染めた陣を捕えなかった。とっくの昔に仮は返したはずなのに、自然とそのまま彼と会ったりして。他にも組織絡みの事件だとわかれば隠蔽することだってあった。

腐れ縁で、組織を倒すためでとそんな幼稚な理由が通る訳がない。それに警察官が加担していたとなれば、罰金程度ではすまされないだろう。

大の大人がまだ小さな少年に指摘されてしまうなんて。不甲斐なさでつい顔に手を当ててしまう。改めて自分がした事を振り替えるとこれは立派な犯罪だ。

「……脅すようになっちゃってごめんね。でも、Aさんたちの関係を知るのはボクたちにとって大きなものだと思うんだ」

"だから教えて欲しい"とコナンくんにせがまれる。

つまりこれは交渉。今は私の罪を暴露しないであげるから、関係を教えて欲しいと。言う分にはいとも容易いだろうけど、こんなまだ小さな子どもたちに教えてもいいものなのか。でも、今の私には刑をくらうわけにはいかない。なにせ私には組織を壊滅させて、陣を更生させるという目的がある。少しでも時間を逃すわけにはいかないのだ。

「………わかったよ、コナン君」

"ごめんね。私、悪い人を捕まえるための警察官なのに"と肩を落とせば哀ちゃんは複雑な表情をしていた。

そして私は意を決して話すことにした。