清純の真実･前編《名探偵コナン》 (ページ13)

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𝙵𝚒𝚕𝚎.𝟷𝟸 ページ13

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それから時計が何周か回った頃、最後のお客さんが店を出た。
私は店内を軽く掃除して、残った作業を片付けると終業の挨拶をした。

「今日も1日、お疲れ様でした」

「お疲れ様でした〜！また明日から忙しくなりますけど、2人で頑張りましょうね」

梓さんの明るい言葉に頷いて私はポアロを後にした。
行先はもちろん、コナンくんたちのところ。実は、朝からずっとあのメールのことが頭から離れなかったのだ。

え〜と、阿笠さんの家は2丁目22番地よね……

頭の中で地図を描く。前に1度だけ見かけたことがあったけど、もううろ覚えだ。多分、哀ちゃんと阿笠さんの2人で住むには、大きすぎるくらいの家だったような気がする。しかも、隣にある豪邸も中々にインパクトがあり、まるでミステリー小説にでも登場してきそうだなぁなんて思ったはず。

頭の地図を頼りに私は阿笠邸まで足を運んだ。

❉

数分後……私が辿り着いたのはしっかり《阿笠》と書かれた表札の前。特徴的な建物だったのもあり、お陰で迷わずにすんだ。

そして、やや震える人差し指でインターホンに触れる。

ﾋﾟﾝﾎﾟｰﾝ

『はーい』

「あ、Aです。コナン君から話があるって………って、コナンくん！」

『うん、ボクだよ。来てくれてありがとう！』

呼び鈴を鳴らせば応対したのは阿笠さんではなくコナンくんで。彼はいつもと変わらぬ調子で"入っちゃっていいよ！"とインターホン越しに言った。

「お、お邪魔しま〜す……」

人気のない玄関口で挨拶をして、そろりそろりと室内に入る。まるで初めて友達の家に行くようなぎこちない気分。でも多分それだけじゃない。今日呼ばれたのは、何か重要な話のような気がするのだ。

そんな感覚に駆られながら、私は広いリビングに出た。流石は発明家ということもあるからか、内装は不思議な作りになっていた。円を描く様に設置されたカウンターも、窓際に敷き詰められた本も実に独創的。家というより、研究所に近いかもしれない。

そんな中に設置されたソファには、コナンくん以外に哀ちゃんがいて、私を見るなり読んでいた雑誌をテーブルに置いた。そしてこちらへ手招きした。哀ちゃんに座るように言われ、私は向かい合わせのライラックのソファに腰掛ける。

「………それでAさん。ボクたちが聞きたいことっていうのはね──」

着いて早々、コナンくんはポケットから小さな塊を取り出し、さっそく本題を切り出した。