清純の真実･前編《名探偵コナン》 (ページ2)

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𝙵𝚒𝚕𝚎.𝟷 ページ2

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───とりあえず、ベッドから飛び起きて辺りを見渡した。

ここは私の部屋だ。それは、このダンボールの山々と床の黒っぽい染みからすぐに理解した。どうやら陣は車内で気絶した私をアパートまで運んでくれたらしく、私が意識を取り戻せばすぐに目の前から離れていった。

ベッドの脇に立つ彼にお礼を言うと、何の表情を浮かべることもなく。その代わりに無表情のまま少し呆れたようにため息をつかれた。

「眠り姫はこれで終いにして欲しいもんだぜ……」

それからコートのポケットに手を入れると、室内にも関わらず煙草を取り出した。カチリとライターを触れる手に、いくらかぼんやりしていた意識がハッと我に返る。

「ちょ、ちょっとここ室内！」

「たかが1本ごときで喚くんじゃねぇ。
………それよりお前、本当に全部思い出したのか」

私の言葉を無視して彼はそのまま煙草に火をつけると、人差し指でコツコツとこめかみをさす。
言わずもがな私の記憶のことだろう。勿論、今は過去の記憶だけでなく、記憶喪失になった後のことも覚えている。少年探偵団のみんなと博物館に行ったことも。そして車の中で気を失ったことも。

「もちろんよ……私が警察だったこととか、銃で撃たれたこともね」

「………あれはとんだお人好しだと思ったがな。俺なんかを庇いやがって。何かでかい貸しでも作らせる気か」

「そ、そんなこと思ってないよ。それに、借りならもう返してくれたでしょう。ほら、瓦礫から私を救ってくれたから……」

つい数刻前の博物館にて。目の前の彼は絶体絶命の状況だった私を助けてくれた。あれがもしも命中していたら、軽傷などではすまなかっただろう。あの時の彼には不覚にもときめいてしまった。

私の言葉を聞いて一連の出来事を思い出したのか、彼は"まぁいい"とフーッと紫煙を吐き出した。