𝙵𝚒𝚕𝚎.𝟺𝟶 ページ41
.
2ヶ月後……
澄み渡るような青空は、まさに卒業式に相応しい。
そんな群青の空の下、私の顔はすっかり涙でぐしょぐしょだった。着ている制服にはいくつかの染みを作っており、地面にもポタポタと雫の後が。
今、無事に卒業試験を合格した私は、卒業証書を両腕に抱いている。
卒業式は笑顔でいようと決めていたものの、学校で過ごした日々がどんどん思い出されて、私は笑顔でなんていられなかった。
「……お、鬼塚教官、今まで、あ、ありがとうございました……!」
ズビズビと鼻をすすってそう言えば、教官に強く肩を叩かれた。
「おい、泣くなA!俺より先に死ぬんじゃねえぞ、いいな!」
その言葉には少し矛盾が生じていた。泣くな、と言ってる教官本人も目が潤んでいるから。厳しくも最後までお世話になった教官には感謝しかない。
入学初日はどうなることかと思ったけれど、何の問題もなく卒業できた。立派な警察官として、私はこれから活躍するのだ。
私が力強く頷いたのを見て、"よし!"と教官が手を上げる。
「お前の銃の腕はピカイチだ!それを活かして多くの人々に貢献しろよ」
「はいっ!!」
教官に敬礼をされて、私も背筋を伸ばしてビシッと手を上げた。
教官、今までお世話になりました
私、絶対に立派な警察官になります……!
そう誓った私の顔は、じつに凛々しいものだったと自分でも思う。
秋風が心地よいこの日、晴れて私は警視庁警察学校を卒業した。
917人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:匿名希望 | 作成日時:2023年6月11日 11時