検索窓
今日:80 hit、昨日:126 hit、合計:70,058 hit

𝙵𝚒𝚕𝚎.𝟸𝟼 ページ27

.


送り主の名前と会社は黒塗りになっていて、いかにも怪しそうな紙だ。
日付けは相当前のもので私が産まれてすぐくらい。私が見る限りでは、堅苦しい文章とお金のことが記載されている。
そんな奇妙な紙に、私は興味本位でそれを読んでしまった。


「……春たけなわの季節となりましたが、皆様ますますご健勝のこととお慶び申し上げます。さて、先日お話いたしました件についてですが、快諾頂けるとのことで大変光栄に思います。
今回は男児1名のお渡しになります。例年どうり齢14になり次第、弊社に迎えさせていただきます。授業料込み、学費は毎年……」



"5000万"。


そこまで読んで、私は大きく目を見開いた。
その数字に驚いたということもある。しかし、私が肝を潰したのはこの文章の内容だった。


この施設と裏組織が関係している──


その事実が、私にはすぐにわかった。

だが、今の文章だけではそうは思わなかった。私だってこれだけで裏組織と思ったわけじゃない。
確信したのは、《くれぐれもこの事はご内密に。関係者以外、そして警察にも》という文面。そして、"齢14、弊社に迎える"という言葉から連想したのは、あの彼の姿。


先生が、彼が危ない場所に行くのを止めなかった理由が理解できた。なぜなら、この施設は裏組織から多額のお金を受け取って、契約をしていたのだから。そして、指定の子どもを一定期間まで育てて、裏組織に引き渡していたのだ。

それも今に始まったことじゃない。"例年どうり"、つまり前者がいたのだ。


私の心臓が激しく動悸して、頭に衝撃が走る。まるで雷に打たれたような衝撃が。紙を持つ手は震え、私は一気に裏切られたような気分になった。
自分が施設を出る喜びなどもう頭になくて、目の前の事実にただ驚愕するしかなかった。



「……Aさん、それを渡しなさい」



後ろから背中を刺すような冷たい声が聞こえた。
私が振り返れば扉付近に施設長さんが。口調こそ穏やかだが、その顔は全く笑っていなくて。

私の全身から、サアッと血の気が引いた。

𝙵𝚒𝚕𝚎.𝟸𝟽→←𝙵𝚒𝚕𝚎.𝟸𝟻



目次へ作品を作る
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (193 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
917人がお気に入り
設定タグ:名探偵コナン , 黒の組織 , ジン   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:匿名希望 | 作成日時:2023年6月11日 11時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。