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清純の追憶
───これは、とある女の過去の話。
𝙿𝚛𝚘𝚕𝚘𝚐𝚞𝚎 ページ1
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「待って、陣くん!」
土砂降りの雨の中、1人の女が男に声をかける。
その彼女の顔にはいくつもの水滴が滴っていた。どれが雨粒か涙かなど分からないほどに。この時の彼女は心の底から驚愕していた。人というのはこんなに簡単に変わってしまうものかと。
暗闇に消えようとする男は、その言葉にピタリと足を止める。
思えば、彼らの出会う日々はたいてい雨だった。
「……外の世界ってのは、綺麗なもんじゃねぇな」
そう言う彼の表情は、綺麗な銀髪に隠れていてわからなかった。ただ、前髪の隙間から見え隠れする深碧の双眸は感情の入り交じっていないものだった。この様子は、冷酷無情という文字が相応しいのかもしれない。
そして、彼は彼女の制止も虚しく足を進めた。
呆然とその場に立ち尽くし、暗闇に溶ける彼の背中を見つめていた彼女は決めた。
警察官になると。
そして、この男を闇に落とした組織を倒し、更生した彼とまた生活すると。
───これは、とある女の過去の話。
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作者名:匿名希望 | 作成日時:2023年6月11日 11時