◆運命がレールを作る ページ12
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昼前に茶色の封筒が送られてきた。
今日は幸い依頼はなく兄と普通の休日を過ごせれば良かったが、生憎の採用かどうか分かる日である。
「早く開けろよ」
「急かすな、元ヤン」
「お前、何かある度に俺の事を元ヤン呼ばわりしないの」
「じゃあ、丸くなった元ヤン。もうちょっと待って、開ける前にハーブティー飲む」
「なにその変なあだ名。…てか何杯飲む気だよ。コーヒーに水にハーブティーって…」
「うるさいヤンキー、喉カラカラなの」
「うるせえ、元ヤンだっての。一思いに開けちまえ」
「…っ、開けるから！」
ハサミを使って丁寧に開ける。
とりあえず1番厚めの紙を引っ張り出した。
どうやら裏面らしく何も書いてない。
これに合否が書いてあるのかな。ゴクリ、唾を飲み込む。
気は短くなく、むしろ長い元ヤンことジーンもこの時ばかりは少し緊張している。
ゆっくりひっくり返した。
「……」
「……」
そしてそこに書かれた言葉に言葉が消失した。
体感で1分。それくらい時が止まってた気がする。
まあ現実では数秒だろうけど。
「ご、合格だ…」
やっと出た声は少し上擦っている。
さっきハーブティー飲んだばっかりなのに、また喉がカラカラだ。
「おめでとう！よくやったな！」
「良かった…」
はあ、と胸を撫でおろし息をつく。
「はは、こういう時ぐらい思いっきり喜べよ」
「喜んでるわ！超！」
「表情変わってねえよ」
いつにも増してニコニコのジーン。
私だって凄く嬉しいが彼みたいな破顔はできないので、羨ましく思う。
「はー、めっちゃテンション上がったわ。今なら敵兵の頭、連続で撃ち抜けそー」
「急に物騒なこと言わないの」
ジーンはどういう訳かこういう事を当然のように、普通のように言いやがる。ちょっと頭のネジが足りてないか、錆びてるんだと思う。
「じゃあ今日はお祝いだな。何食いたい？…あー、酒あったかな」
「私、まだ酒飲めない。あと食べたいのは、いつもの」
「いつものってまたかよ。まあいいけど」
苦笑するジーンはパイから作らねーと、と早速キッチンに向かった。
いつもの、というのはトマトとチーズ、そしてポテト、鶏を使ったパイ包みだ。じいちゃんから教えて貰ったものである。
「よっしゃ、今日は豪華にワインにしよ！」
「だから酒は飲めないってば！」
「俺が勝手に飲むからいーの」
いや、ジーン。よく考えたらアンタ酒弱いやん。
(いっや、さすが俺の妹！鍛えた甲斐あ、る……わ)
(寝ちゃった)
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