◆うまい恋には裏がある【ci】 ページ21
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上手い話には裏がある。
その言葉は知っていた。でも、心のどこかで偶には裏のない上手い話もあると信じている。
「なあ」
隣から声をかけられる。
「なあに？チーノ君？」
にっこり
私は自分でも引くほどのとびっきりの笑顔を作った。
ああ、本当に私って詐欺師とかにでも向いてるんじゃないだろうか。
心の中でそんなことを考え、自分を嘲笑う。そしてチーノ君には申し訳なくなる。
「今度の週末どっか行かへん？」
「いいよ、どこ行きたい？」
「うーん、そうやなあ」
バラエティ番組に集中していた彼は、それがCMに変わるなりそう言ってきた。所謂デートのお誘いだ。
「ショッピングモール行かない？」
「そうやな。ちょうど服欲しいし」
デートプランをゆるっと計画し、CMが終わったテレビを2人で見る。
はあ、どうにかなった。
そんな私の心の中では冷や汗ダラダラだ。何と言うか私は昔っからちぐはぐな人間だった。友達はいたが、よく言われるのは無表情すぎるだとか何とか。
すごく楽しくても面白くても感情が表情に出にくかった。
それで友人関係、恋愛含めて誤解されることが多々あった。
どうにかなったのは快活な幼なじみがいたからだったが、大学は離れ離れのためこのままだと、と危機感を募らせ行き着いた先が今の私だ。
久しぶりに会った幼なじみから、本当に大丈夫か？と心配されるくらい胡散臭い笑い方的なのを覚えてしまったらしい。流石に言葉が辛辣で心の中で泣いた。
社会人になって恋人ができた。それがチーノ君だ。
最初の印象は、何となく自分と笑い方がそっくりだということ。でも、仲良くなるにつれ心を開いてくれたらしい。笑顔が素敵だ。
「ねえ、チーノ君」
「ん？」
「……何でもない」
「ホンマに？」
「うん、なんて言おうとしたか忘れちゃった。気にしないで」
「えー、気になるわぁ」
ああ、ダメだ。自分を出したら嫌われちゃう。
決めたじゃん。何でもない話で笑ってくれる彼に、真剣に告白してくれた彼に、こんな私と過ごしてくれる彼にこんな自分出すなんて、ダメだ。
恋愛を上手く行うには多少裏がないとやってけないのだ。まあ私の場合だけど。
いつか言わなきゃ、そう心では分かってる。嫌われてもそれは私のせいだ。仕方ないのだと。
「週末、楽しみ」
「せやな」
そう言ってまたにっこりと笑うのだ。
◆◆
次の話はチーノ視点
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珀空(はくあ)(プロフ) - ゆーみやンさん» はじめまして！そう言って頂けるとすごくうれしいです！これからも頑張らせて頂きます！コメントありがとうございました!!!<(_ _*)> (2020年3月21日 7時) (
レス) id: 0b3c35e0d6 (このIDを非表示/違反報告)
ゆーみやン(プロフ) - はじめまして。どのお話もとてもだいすきです！ 更新頑張ってください！応援しています( *´艸｀) (2020年3月21日 3時) (レス) id: cef1a7a657 (このIDを非表示/違反報告)
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