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・no side
「…上手くいったな」
「ああ。シャオロンの妙案やった」
Aに不意打ちしたゾムは、彼女を抱える。彼女には悪いが、ずっと村の広場で別れたあと後をつけていた。
「東に船をまわすらしいで」
「…ああ」
グルッペンはAが絶景だと言ったその景色を、再度見てそして頷いた。
ちょうど村で市が行われているため、人がそちらに集中し海を気にかける者はいない。
「…さっさと退散しようか」
「土産も手に入ったしな」
この紙袋のやつと、そして女の子。
彼らは満足気に笑い合う。
「海色の瞳は航海に多大な幸運を呼ぶ。それは生ける海の宝なり＿、ねえ」
エーミールが揚々と語っていたことを思い出し、呟く。それは確かだ。
Aの瞳が海色であることを確認してから、いつでも攫おうと思えばできたのだが、ついその瞳が輝くさまを見たくてここまで来てしまった。
「宝なら海賊が奪うんは当たり前やな」
「せやな」
ゾムの言葉にシャオロンが頷く。森を東へ抜けて段々と船が近づいてくる。
「この子には悪いが…」
「そこまでや。言ったやろ？俺らは海賊やって」
「…ああ」
「俺らがどんなものかいくら彼女でも知っとるはずやで？警戒なんかせず、無防備に案内してしまったのは彼女や」
＿＿ある意味俺らにしてみれば幸運なことにな。
そうゾムは言いながら、船の前で待つ仲間たちを見る。
彼の背中の少女を見てから、仲間たちは船へと戻っていった。すぐに出航し、海へ出るために。
「…よいせ」
チーノとショッピが急ピッチで用意した部屋のベッドに彼女を寝かせる。まだぐっすりだ。暫くは起きないはずだ。
そのことを確認してから、瞼をなぞる。その奥の色を早く見たいと思った。
看板にはグルッペンとトントン、オスマンがいた。
「良い船出だな」
「……はあ」
「きっとこれから沢山の幸運が舞い込むぞ」
「俺の仕事は減るんか？」
「めう、逆に色々と増えるかも？」
「……」
「冗談めう」
想像しただけで、と顔を真っ青にするトントンにオスマンはケラケラ笑う。一応冗談のつもりではあるが、場合によっては本当に増えるかもしれない、なんて。
「さて、出航だ」
「お前ら出航や！」
その声を合図に重い音が響く。ゆっくりと船体は進み始める。
「こっからが楽しみや」
「いい女に会えますように」
「鬱兄さんが振られますように」
「あん？」
「あっはっは！」
＿＿彼らの航海は海とともにこれかも続く。
(魅入ったなら、奪うだけ)
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珀空(はくあ)(プロフ) - ゆーみやンさん» はじめまして！そう言って頂けるとすごくうれしいです！これからも頑張らせて頂きます！コメントありがとうございました!!!<(_ _*)> (2020年3月21日 7時) (
レス) id: 0b3c35e0d6 (このIDを非表示/違反報告)
ゆーみやン(プロフ) - はじめまして。どのお話もとてもだいすきです！ 更新頑張ってください！応援しています( *´艸｀) (2020年3月21日 3時) (レス) id: cef1a7a657 (このIDを非表示/違反報告)
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