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「ああ、君がAチャン？明那からチョロっと聞いたんだ〜〜、まあ俺風に言うと迷子の子猫ちゃんってとこかな？！」
明那さん、というのは確か、シェリンさんの助手の。
「赤メッシュの奴！覚えてるっしょ？」
私に向けて身を乗り出しながら言う湊さん。
喋り方がとても明るく、誰とでも簡単に打ち解けられそうな雰囲気が、湊さんの笑顔と相まって、自然と私も笑顔になる。
「はい、三枝さんですよね。お会いしました」
「だよね！俺この前明那と話しててさ〜、」
そんなことを話しながらふにゃっと笑う湊さんはとても楽しそうで、明那さんと本当に仲が良いんだなと思う。
「ちょっと湊ちゃん、Aちゃんに自己紹介しないと。」
明那さんの話をしていた湊さんは、巴さんの言葉にハッとしたようにパッと表情を変えると1度指をパチンと鳴らし、キメ顔で私にウインクをする。
「ご指名ありがとうございます。No1ホストの、不破湊です」
気の抜けたふにゃっとした笑顔でお話をしていたとは思えないぐらいの決めポーズとキメ顔で、私はつい、フフ、と笑ってしまう。
「え？なんで笑ってんの？」
「不破殿、今日も絶好調ですね。」
「あー！Aちゃんやっと笑った！」
私の反応を見て、三者三様の反応を示す。
当の私はというと、キリッとした湊さんから、またふにゃっとした湊さんに切り替わるのがおもしろくて、あはは、と笑うばかりである。
「不破殿のテンションがツボに入ったみたいですね。」
冷静なグウェルさんのツッコミが、また私のツボを刺激する。
「ちょ、ちょっとAちゃん大丈夫？1年分ぐらい笑っちゃってるんじゃないの？」
巴さんは、心配をするようにお水を私に手渡す。私は荒ぶった呼吸を落ち着かせるように1口、水を飲んだ。
そんな私に構わず、3人は3人で、会話を進めていた。
「最近どうなの〜？グウェルちゃんは」
「私ですか？特に変わったことはありませんが…」
「そういえば大丈夫なんすか？奥さんと同棲始めたんでしょグウェルさん」
「はい。特に問題はありませんよ。」
「ちゃんと子育てには参加しなきゃだめよ〜？」
「もちろんです。」
「グウェルさんが父か……。なんかあれだな…、感慨深いな…」
「湊ちゃん？厄介オタク出てるんじゃない？それ」
「いや巴さんそれは。ちょっと。ﾊｲ､ッス。あの、やめてください。むりです。」
3人の会話のテンポが、独特で、私は会話の内容もわからないのに、クスクスと笑う。
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作者名：WAJ | 作成日時：2021年4月9日 1時
