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「晴!」

意外にも、晴さんが目を覚ました時に1番に声を掛けたのは、景さんだった。

ゆっくり起き上がろうとする晴さんを、藤士郎さんは必死に止めた。

「まだ寝てないとダメだよ!4日も寝てないんでしょ?」

そんな藤士郎さんの姿が見えているのか、いないのか、晴さんはぼうっと藤士郎さんを見つめると、掠れた声で告げた。

「まだ、企画の準備が、終わって、ない。」

そんな晴さんの声に、晴さんの目が覚めて安心していたはずの部屋の雰囲気が一変する。

「企画、っていってもまだ1週間はあるだろ?」

景さんの声が、冷たく感じたのは初めてだった。

「1週間じゃ足りない、まだ、仕事も残ってる、」

「1週間こんな生活を続けて、そんな疲れきった晴くん見て、視聴者は楽しんでくれると思うの?」

「大丈夫だよ弦月、演技ぐらい、できる」

晴さんはゆっくり体を起こしながら、無理矢理笑顔を作る。

頭が痛むのだろう、晴さんは頭を抑えながら消え入るように「演技力については、藤士郎も褒めてくれたじゃんか、」と呟いていた。

しばらくの沈黙の後、景さんがおもむろに話し始めた。

「北区で魔の捕虜が数匹。中には変異種もいる、人にどんな被害が出るかもわからないまま、牢獄に入れられている。こっちに回すってよ、なぁ晴。また、仕事増えるぜ」

「ちょっと景くん!なんで追い込むようなこと!」

「そりゃあ良かった。ちょうど実験サンプルが欲しかったところなんだよ」

「晴くん!まだ働く気?だめだよ、1週間は休んでないと!」

「ちょっと黙っててよ、藤士郎。頭に響くんだ、弦月の声…」

晴さんはそう言ってため息をつくと、藤士郎さんは困ったように小さく「ごめん…」と言って黙ってしまった。

部屋に、また、沈黙が流れる。

次に声を出したのも、また、景さんだった。

「俺は帰るぜ、藤士郎。どうやら甲斐田も平気みたいだし、仕事戻るわ〜。」

「ちょっと、景くん!」

「藤士郎も、いいよ、わざわざありがとね。」

「晴くんまで…!」

「藤士郎だってこの後の予定があるでしょ?こんなとこで、同期の心配してる暇、ないでしょ。」

晴さんは藤士郎さんに冷たく告げる。

──藤士郎さんは、晴さんのことが心配で、ここに居るのに。

景さんだって、仕事を抜け出してまで、晴さんの様子を見に来たのに。

「そんなこと、言うんだね。もう、晴くんなんて、知らない!」

藤士郎さんはそう言うと、扉の前に立ちすくむ私を押し退けて部屋を出ていってしまった。

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WAJ - ゆめなさん» ありがとうございます!そう言っていただけると本当に力になります!これからも応援よろしくお願いします! (2021年2月25日 10時) (レス) id: fa85d0ee74 (このIDを非表示/違反報告)
ゆめな(プロフ) - 好きです…!!毎日更新が楽しみです!! (2021年2月24日 23時) (レス) id: 9f72c6a150 (このIDを非表示/違反報告)
WAJ - 野生のきゅうりさん» 応援ありがとうございます!長編になる予感はしていますがもうオチまで考えているので最後まで主人公を導けるように頑張ります!よろしくお願いします! (2021年2月16日 9時) (レス) id: 59ac59be38 (このIDを非表示/違反報告)
野生のきゅうり(プロフ) - 好きな感じのやつです……!!!更新頑張ってくださいー!続きが気になるヤツ久しぶりに見ました笑 (2021年2月16日 0時) (レス) id: 66eb00c237 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:WAJ | 作成日時:2021年2月7日 1時

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