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ゆっくり部屋を歩きながら景さんと藤士郎さんが消えていった方に向かう。

窓際に置かれている花瓶の花は萎れていて、何日も水を変えていないのが伺える。

奥に向かう途中でチラッと見えたキッチンには、数え切れないほどの栄養ドリンクの空瓶が散らかっていた。

藤士郎さんが言っていた「四徹」というのは、4日も寝ていないということだろう。

そして、状況から整理すると、晴さんは少量のゼリーと栄養ドリンクしか飲んでいない。

栄養失調と疲労による気絶、ということだろう。

2人の声がする部屋に入ると、日が差し込む部屋のベットに横たわった晴さんが居た。

「晴、さん、大丈夫、なんでしょうか」

不意に出た言葉に、声が震える。

先程扉の前で会った景さんは、少し息が上がっていて、汗ばんでいた。

電話先で藤士郎さんが『こんな時に限って景くんがいない』と言っていた。

きっと、なにか仕事があったのだろう。

それを早く切り上げて晴さんの元に駆けつけた。

そして、藤士郎さんは迅速に薬の手配をしながらも、晴さんをベットまで運び、今までの間、看病をしている。

以上のことから推測すると、これは、緊急の事態、ということだ。

花那さんは『いつものことだから大丈夫だよ』とは言っていたものの、大丈夫ではないからおふたりは慌てているのだろう。

私が出した言葉の返事はない。

その代わりに、景さんが笑い、「いつも無理すんだよなあ、こいつ」と言った。

「健屋さんも、怒ってたでしょ?僕もね、怒ってるんだよ。でもね、晴くん、大丈夫って言って、言うこと聞かないの。」

ゆっくりと言葉を紡ぐ藤士郎さんの声は、少しだけ震えていた。

窓の外に雲がゆっくり流れる。

「晴くんは、僕らとか、他の人のことはすごいお節介してくるのに、自分のこととなると途端にどうでも良くなるの。晴くんはさ、努力家だから、自分の身を犠牲にしても皆に笑顔でいて欲しい、らしくて。」

初めて晴さんと会った時のことを思い出す。

人から好かれるような、優しい笑顔をしていた。

晴さんはきっと、心から優しい人なのだろう。

「ほんと、バカだよね。無理なんてするから、こうして僕らに迷惑がかかってんのに。」

そう言いながらも、晴さんの傍を離れない藤士郎さんと景さん。

きっと、心の底から晴さんのことが心配で、晴さんのことを大切に思っているのだろう。

──これが、桜魔皇国

「、あ」

静まり返った部屋に、小さい声が響く。

晴さんの目が、覚めたようだ。

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WAJ - ゆめなさん» ありがとうございます!そう言っていただけると本当に力になります!これからも応援よろしくお願いします! (2021年2月25日 10時) (レス) id: fa85d0ee74 (このIDを非表示/違反報告)
ゆめな(プロフ) - 好きです…!!毎日更新が楽しみです!! (2021年2月24日 23時) (レス) id: 9f72c6a150 (このIDを非表示/違反報告)
WAJ - 野生のきゅうりさん» 応援ありがとうございます!長編になる予感はしていますがもうオチまで考えているので最後まで主人公を導けるように頑張ります!よろしくお願いします! (2021年2月16日 9時) (レス) id: 59ac59be38 (このIDを非表示/違反報告)
野生のきゅうり(プロフ) - 好きな感じのやつです……!!!更新頑張ってくださいー!続きが気になるヤツ久しぶりに見ました笑 (2021年2月16日 0時) (レス) id: 66eb00c237 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:WAJ | 作成日時:2021年2月7日 1時

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