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ちーちゃんと呼ばれた少女は、刀也さんを見てわかりやすく「うわぁ」という顔をすると、刀也さんが呼応するように「なんですかその顔は」と反応した。
「まるで僕が嫌われてるみたいじゃないですか」
「ま、まさかぁ〜!ちひろ、刀也お兄ちゃんのこと、だ、だいすきだよぉ〜!」
「声、震えてますけど大丈夫ですか?」
ちーちゃん、と呼ばれた少女はどうやら、ちひろ、という名前らしい。
刀也さんのからかいに、ちひろさんはキャッキャと楽しそうに笑う。
純粋無垢な少女の笑いに、思わず、私も釣られて笑顔になる。
「ところで、この人だあれ?」
ちひろさんが私を指さして言う。
「あっ、挨拶が遅れてごめんなさい、えと、A、と言います。よろしくお願いいたします!」
私は慌てて早口でそう告げるとちひろさんよりも低く頭を下げる。
「お〜!君が“例”の!」
「れ、れい…?」
「楓から話は聞いてるよ〜!ちひろはね〜、勇気ちひろ!魔法少女だよ!」
ちひろさんはそう言って持っていたスティックをくるっと回す。
確かに、ちひろさんは青いドレスのようなワンピースを着ていて、まるで少女向けアニメに出てくる魔法少女みたいだ。
「魔法が使えるんですか?」
もはや、目の前の小さな少女が魔法少女であることに対する疑いは微塵も無かった。
が、実際の魔法がどのようなものなのか、見てみたいという好奇心はあった。
「使えるよ〜!でも、今は使わな〜い!気分じゃな〜い!」
そう言って笑うちひろさんは、本当にただの無邪気な女の子のようで、魔法を断られたのに、心がほっこりとする。
そう感じていたのは私だけでは無いらしく、隣の刀也さんも癒される、というようにニコニコとちひろさんを見つめていた。
「え、キモイ!」
「何がですか!酷いですよ!」
「ロリコン!キモイ!」
夜の西洋の街角に、楽しそうな笑い声が響く。
──すごいなぁ、色んな人がいるなぁ。
ここの世界にはどんな人が住んでいるんだろう。
ちひろさん以外の方にも会ってみたいな。
そんなことを考えている間に、刀也さんとちひろさんは分かれたようだった。
「まったくね、ちーちゃんは可愛らしいですね、本当に」
散々ちひろさんに暴言を吐かれたはずなのに、何故か満足気な刀也さんに、少しだけ苦笑する。
「ここは、さっきまでの街とは違う“世界”なんですか?」
2つ目の扉に来て、ようやく扉の使い方がわかってきたように感じる。
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WAJ - ゆめなさん» ありがとうございます!そう言っていただけると本当に力になります!これからも応援よろしくお願いします! (2021年2月25日 10時) (レス) id: fa85d0ee74 (このIDを非表示/違反報告)
ゆめな(プロフ) - 好きです…!!毎日更新が楽しみです!! (2021年2月24日 23時) (レス) id: 9f72c6a150 (このIDを非表示/違反報告)
WAJ - 野生のきゅうりさん» 応援ありがとうございます!長編になる予感はしていますがもうオチまで考えているので最後まで主人公を導けるように頑張ります!よろしくお願いします! (2021年2月16日 9時) (レス) id: 59ac59be38 (このIDを非表示/違反報告)
野生のきゅうり(プロフ) - 好きな感じのやつです……!!!更新頑張ってくださいー!続きが気になるヤツ久しぶりに見ました笑 (2021年2月16日 0時) (レス) id: 66eb00c237 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:WAJ | 作成日時:2021年2月7日 1時