双つの黒 9 ページ50
「……先刻から思ってたが、手前等どういう関係だ?本当にお前こいつの助手か?」
「助手ですよ。……一応」
最近なんだかこの質問ばかりされてる気がする。中原が疑いの眼差しを向けてきたが、あしらっておいた。
「まあマフィアが彼を殺すのは勝手だけどね。大損害を受けたマフィアと違って探偵社の被害は国木田君が恥ずかしい台詞を連呼しただけで済んだんだから」
「社員に詛いが発動したのか。その後如何した」
「勿論録画したけど?」
「手前等も苦労してンだな……」
「あはは……そうですね……」
私がいない間にそんなことがあったのか。初めて知った。
しれっと同僚の恥ずかしい姿を撮影したという太宰さんに、中原は呆れて肩を落とした。それから私に対して、あわれみの視線を向けた。
中原も太宰さんに苦労したのだろうか。
何故か私と中原は敵同士なのにも関わらず、お互いの手を握りあった。
「そういえばお前……確かAとか言ったよな」
太宰さんがQを拘束から解いて、中原が彼を背負ったとき、中原がそう聞いてきた。(私がQを拘束から解く手伝いをすると申し出たが、太宰さんに止められてしまった)
「……そうですけど」
「お前、芥川が夢中になってる奴だろ」
「はぁ!?」
「それは聞き捨てならないね。中也の妄想なんじゃないの?」
「俺じゃねぇよ。噂だ噂」
中原の言葉で思い出した。確か、芥川は「その女は僕の獲物だ。 故にそいつは僕の所有物同然」だとかなんとかいってた気がする。
真逆、マフィア中に広まっているのだろうか。
「彼奴……次会ったら彼奴の家特定して、玄関の靴を全部左右逆にしてやる……」
「手前が上司なら部下も部下だな。考えることがえげつねぇ」
「最高の部下だろう。私の教育の賜物かな」
私の後ろでそんな会話をしていたが、無視だ無視。なんだか芥川のことを考えたらイライラしてきた。
「つーかクソ太宰。その人形寄越せ」
「駄ー目。万一に備えて私が預からせて貰うよ」
「ああ糞、昔から手前は俺の指示を露ほども聞きゃあしねぇ。この包帯の付属品が」
「何だって?中也みたいな帽子置き場に云われたくないね」
「この貧弱野郎!」
「ちびっこマフィア」
「社会不適合者!」
「その程度の悪口じゃそよ風にしか感じないねぇ」
「ぐ……」
そんなやりとりをする二人をよそに、私はさっさと階段を登る。何度も同じようなやりとりをする二人に、もはやツッコむ気力も失せた。
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塩わさび - ミヤさん» コメントありがとうございます!おもしろいといっていただけるなんて光栄です…!!!頑張って更新していきたいと思います……! (2018年4月18日 23時) (レス) id: e627b6cc05 (このIDを非表示/違反報告)
ミヤ - 続編おめでとうございます!人間創造、とっても面白いです!これからも頑張ってください。応援しています! (2018年4月17日 21時) (レス) id: ce29b99b88 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:塩わさび | 作成日時:2018年4月16日 21時