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三社鼎立 ページ22

「大丈夫かなぁ……鏡花ちゃん」

国木田さんが忙しくタイピングをしている中、ぽつりと呟いた私の声が響いた。当然国木田さんに聞こえたようで、口を動かしている暇があったら手を動かせと言われる。

「だって初任務ですよ?敦くんもわりと新人ですし、ちょっと心配というか……」

「敦も入社して暫く経つんだ。お前がいない間も仕事をしていたし、大丈夫だろう」

「それはそうですけど……」

今朝、意気込んでいた鏡花ちゃんを思い出す。何でも裁判の証拠を判事に届けるらしく、一見簡単に思える仕事だが、一応は元ポートマフィアだ。ちゃんと表からの入りかたはわかるのだろうか、と心配してしまう。

「A!賢治!!敦たちの元へ行くぞ!!」

「へ?何です急に?」

突然国木田さんが携帯を見たかと思うと、立ち上がった。先刻まで何も心配していなかった人が、何故。

「緊急事態だ!鏡花の携帯に着信の信号が入った!」

鏡花ちゃんの携帯に信号がでるように仕込んだのはつい先日。
携帯で夜叉白雪を操る鏡花ちゃんに電話をかける者など、探偵社にはいない。それはつまり、誰かが鏡花ちゃんに電話をかけたということだ。
国木田さんが運転する車に急いで乗り、敦くんたちのところへ到着すると、地に伏せる敦くんと、顔面蒼白な鏡花ちゃんが立ちすくんでいた。側にはポートマフィアもいる。

「頭下げてくださーい」

賢治くんがポートマフィアの車を投げ飛ばした。その隙に私たちは敦くんたちの元へ駆けよる。賢治くんは「おー。飛んだ飛んだ」と呑気に笑っていた。

「敦くん!鏡花ちゃん!」

「大丈夫か敦」

「国木田さん、Aちゃん。……何故」

「鏡花ちゃんの電話に着信があれば信号を出るように手を入れておいたんだよ」

「立て、何時まで守られ役でいる心算だ」

「わっ」

「刺されても起き上がる根性が人虎の売りだろう」

国木田さんは力強くそういうと、敦くんの腕を引っ張って立たせた。一方、私は鏡花ちゃんに無事かと尋ねる。しかし彼女は口をつぐんだまま、顔面蒼白のままだった。そんな鏡花ちゃんがみていられず、彼女の小さい手を優しく握ると、鏡花ちゃんが一瞬だけ私を見た。すると、その光景を見ていた着物をきた女性が苦虫を噛んだような表情で私たちを睨み付ける。

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設定タグ:文豪ストレイドッグス , 文スト , 中島敦   
作品ジャンル:恋愛
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塩わさび - ミヤさん» コメントありがとうございます!おもしろいといっていただけるなんて光栄です…!!!頑張って更新していきたいと思います……! (2018年4月18日 23時) (レス) id: e627b6cc05 (このIDを非表示/違反報告)
ミヤ - 続編おめでとうございます!人間創造、とっても面白いです!これからも頑張ってください。応援しています! (2018年4月17日 21時) (レス) id: ce29b99b88 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:塩わさび | 作成日時:2018年4月16日 21時

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