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「『S1』でどんな演目をやるかは、みんなで協議しながら決めたいと思う。俺たちは、結成したばかりの『ユニット』だ。
専用曲もあまりないから、出来合(できあい)の演目をいくらか組みこむことになる____
と考えていたが」
傍ら____いまAが手にしている、先ほど運ばれた荷物を視線で示す。
そのなかには、零から受け取った大量の楽譜や資料などがある。
そのときの零はなぜか楽しそうであり、反対に、Aは嫌そうな顔で零をとめようとしていた。(とめられなかったようだが......)
そのためだろう、楽譜を眺めている彼女は不機嫌なオーラを纏(まと)っている。
ちなみに、音源などは真の端末(たんまつ)に入っている。
「幸い、『ユニット』専用曲は朝霧先輩が、ソロ曲を、朔間先輩が提供してくれた。
朔間先輩からのものは、軽音部の連中がたまに趣味でつくっているという、未発表曲だ。
そこから『Trickstar』に適したものを選びたい」
「あぁ、だから朝霧先輩、あのとき嫌な顔だったんだね。......いまも不機嫌だけど」
真が納得したように苦笑いをする。
「でも、どうして朝霧先輩は『ユニット』の曲だけなの？ ほら、『プロデューサー』って曲づくりも担当するから、てっきりソロ曲も......って思ってたんだけど」
「あのね......私はついこの間まで停学してたのよ。スランプに陥(おちい)っても不思議はないでしょう？
作るのは不可能ではないけれど、ダンスや歌詞を覚えたりする時間を考えたら、もう間に合わないわね。
スランプだからどれも出来が悪くて自分で選ぶといったのにある曲すべてご丁寧にいれてくれたわあの吸血鬼」
最後は愚痴になってはいたが、真の疑問は晴らしてくれたのでいいだろう。
「あの〜、息吸わずに愚痴を言いきりましたけど...大丈夫っすか？」
ついちからがこもって、手に持っていた楽譜にすこしシワができてしまった。
そんなAを見て心配そうに声をかけた真緒に「いたって正常よ」といつも通りに返した。
「あれっ、『ユニット』練習については朔間先輩たちは口をださない感じ？」
スバルがとても今さらなことを言うので、ズレてしまった話を戻すことが出来た。
「うむ。『ユニット』練習の内容や演目については、こちらに任せてくれるようだ。あとは『プロデューサー』に頼れと」
「そちらの件も丸投げしてきたわ。今度絞めてやるわ」
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作者名：白銀桜夢 | 作成日時：2018年2月10日 16時
